成田空港に6月12日午前、ボーイング787-10型機の飛行試験機「エコデモンストレーター・エクスプローラー」(登録記号N8290V)が米シアトル近郊のエバレットから到着した。国土交通省航空局(JCAB)と米国、シンガポール、タイの航空当局が共同で実施する、世界初となる旅客機を使った次世代航空交通システムの試験飛行の一環で、13日に成田を離陸後はシンガポールを経てバンコクへ向かう。同機が成田へ飛来したのは初めて。
今回の試験飛行では、航空機の相互間隔を保ちながら、最適な経路と通過時刻を常に調整する次世代航空交通システム「TBO(Trajectory Based Operation:軌道ベース運用)」を、エコデモンストレーターを使って実施。JCABによると、TBOはより安全で快適なフライトを実現し、積乱雲や火山噴火など急な気象変化に対してスムーズに対応でき、消費燃料を削減することでカーボンニュートラルに貢献するという。
エコデモンストレーターはボーイングの試験機で、米ワシントン州シアトル近郊のエバレット工場に隣接するペインフィールド空港を現地時間11日午前9時すぎに出発。成田空港のA滑走路(RWY16R)へ午前10時54分に着陸し、802番スポット(駐機場)へ午前11時2分ごろ到着した。
4カ国の共同プロジェクトは「MR TBO(Multi Regional Trajectory Based Operation)」と名づけ、今年で2年目。JCABは2009年4月から「将来の航空交通システムに関する研究会」を開いて「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」を策定し、TBOの実現を目指している。同会は産学官連携の取り組みで、JCABのほか国内の航空会社が加盟する業界団体「定期航空協会(定航協)」や研究機関、学識経験者などが参加している。
ボーイングのエコデモンストレーター・プログラムは、2012年にスタート。今回の試験飛行は、各地で可能な限り最大の混合率となる代替航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料、サフ)」を調達して飛行する。
*離陸の様子はこちら。
*写真は8枚。
関連リンク
将来の航空交通システムに関する研究会(国交省)
Boeing’s ecoDemonstrator program
Boeing
ボーイング・ジャパン
成田からシンガポールへ
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