エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2023年6月2日 23:15 JST

ZIPAIR、サンフランシスコ就航　成田で一番遅い米本土行き

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　ZIPAIR（ジップエア、TZP/ZG）は6月2日、成田－サンフランシスコ線を週5往復で開設した。日本航空（JAL/JL、9201）が100％出資する中長距離LCC（低コスト航空会社）で、サンフランシスコ線の就航により、ZIPAIRの米西海岸路線は3路線となり、合わせて週17往復に拡大した。2日のサンフランシスコ行きZG26便の搭乗率は63.1％で、新型コロナ影響下の2020年に就航して以来、全7路線の初便で最多旅客数となった。

成田空港を出発するZIPAIRのサンフランシスコ行き初便ZG26便＝23年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・米国行きで一番遅い便
・7割が外国人
・マニラ就航で3国間流動強化

米国行きで一番遅い便

　成田－サンフランシスコ線の運航日は月曜と火曜、水曜、金曜、日曜で、運航スケジュールは、サンフランシスコ行きZG26便が成田を午後9時35分に出発し、午後3時に着く。成田行きZG25便は午後5時にサンフランシスコを出発して、翌日午後8時5分に到着する。

成田空港でZIPAIRのサンフランシスコ行き初便ZG26便に搭乗する乗客＝23年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　7月2日から9月29日までは運航スケジュールを変更。サンフランシスコ着発が20分遅れとなり、成田の発着時刻の変更はない。機材はボーイング787-8型機で、座席数は2クラス290席（ZIP Full-Flat 18席、Standard 272席）となる。

　成田空港を運営する成田国際空港会社（NAA）によると、ZG26便は米国本土行きでは唯一、午後9時台に出発する便。ZIPAIRによると、サンノゼ線は成田を午後4時台、現地には午前9時台に到着することから、サンフランシスコ線はこれより遅い時間帯とし、首都圏で仕事を終えて成田から出発できるようにしたという。

　2日のサンフランシスコ行き初便のZG26便（787-8、登録記号JA822J）は、乗客183人を乗せて成田の26番スポットから午後9時37分に出発し、A滑走路（RWY16R）を同56分に離陸した。

成田空港を出発する米国本土路線ではもっとも遅いZIPAIRのサンフランシスコ行きZG26便＝23年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

7割が外国人

　ZIPAIRの西田真吾社長は「米国の夏休みに合わせて就航した。（西海岸の3路線とも）現地発は7月中旬くらいまで満席で、日本発は日本の夏休みが始まる7月中旬から8月いっぱいは満席」と、ロサンゼルスとサンノゼを合わせた成田発着の西海岸3路線は好調だという。

成田空港で記念撮影に応じるZIPAIRのサンフランシスコ行き初便ZG26便のクルー＝23年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港で開かれたサンフランシスコ線就航記念式典で取材に応じるZIPAIRの西田社長＝23年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　サンフランシスコ線の日本人と外国人の比率は「今のところ外国人と日本人の比率は7対3だが、日本人は夏休みから増えており、最終的には半々になるだろう」と見通しを語った。「コロナ前から準備してきたものを今まさに使っていただき、（海外への）移動はこれでいいのではないか、という方が増えており、リピーターが増えていることも確認している」と、低価格運賃の中長距離国際線の需要を掘り起こしているという。

　成田－サンフランシスコ間の貨物需要は「ロサンゼルスとサンフランシスコは西海岸の貨物の二大集積地なので、貨物もたくさん利用いただけると思う。現地発は生鮮品など食料品の需要もある」と語った。

　サンフランシスコ線の成田発の通常運賃は、フルフラットシートを採用した「ZIP Full-Flat（ジップ・フルフラット）」が8万9500円から、エコノミークラス「Standard（スタンダード）」が3万5000円から、6歳以下のU6スタンダードは1万円定額で、燃油サーチャージは不要。運賃のほか、空港使用料や諸税が別途必要になる。

マニラ就航で3国間流動強化

　ZIPAIRは、成田－バンコク、ソウル（仁川）、ハワイのホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコの国際線7路線を展開。機材は787-8が6機で、夏前に7号機（JA851J）を受領し、今年度計画している7機体制になる見通し。7機のうち、5号機と7号機が新造機で、残りはJALからの転籍機となる。

　米西海岸路線は、2021年12月25日に就航したロサンゼルス線、2022年12月12日のサンノゼ線に続き3路線目。サンフランシスコは日本・アジアからの需要が旺盛なことから、7月1日就航予定の成田－マニラ線を含め、アジア－北米間の3国間流動の取り込みを目指す。

＊写真は12枚（運航スケジュールは写真下に掲載）。