エンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(最高経営責任者)は現地時間5月25日、延期を決めた次世代ターボプロップ(プロペラ)機開発について「エンジンの良い解決策が見つかっていない」と現状を語った。
ブラジルのエンブラエルは世界3位の航空機メーカーで、リージョナルジェット機の最大手。省燃費や低騒音、運航コスト削減を主なテーマに、次世代ターボプロップ機の計画を2022年に明らかにしたが、同社が求める性能を発揮できるエンジンが市場にないことなどから、開発延期を決めた。
ポルトガルのリスボンで26日まで開かれている報道関係者向けの事業説明会で、Aviation Wireの質問に応じたネトCEOは「エンジンの良い解決策がまだ見つかっていない。航空機の競争力を高め、我々が望むような魅力的な機体にするための解決策が必要だ。解決策を見つけるために、エンジンメーカーと協力しなければならない」と応じた。
昨年発表した計画では、就航は2027年ごろで、空港でのPBB(搭乗橋)の使用や騒音低減、振動低減、乗客の個人スペース拡大、機内持ち込み手荷物の収納スペース拡大、上質なギャレー(厨房設備)とラバトリー(化粧室)の設置など、乗客にジェット機と同様の搭乗体験を提供できる機体を目指すとしていた。
50-70席クラスのターボプロップ機は、新造機ではエアバスと伊アレニア・アエルマッキが設立した仏ATRが製造するATR42-600(30-50席)とATR72-600(44-78席)のみ。
関連リンク
Embraer
22年8月時点の開発案
・エンブラエルのターボプロップ機案、胴体後方エンジンで静粛性売りに(21年8月20日)
特集・エンブラエルが考える将来の航空市場
・「次世代ターボプロップ機は27年ごろ」
特集・リージョナル最大手エンブラエル、スペースジェット撤退後の一手
・羽田で最新鋭E195-E2披露も(23年2月12日)