フランスで現地時間5月23日、鉄道で2時間30分以内の代替手段がある航空路線の運航を禁止する法律が施行された。CO2(二酸化炭素)排出量削減を目的に、2021年に仏議会で可決されたもので、該当路線を運航していたエールフランス航空(AFR/AF)は、すでに廃止している。
同法は航空会社が運航する仏国内線のうち、鉄道で2時間30分以内の代替手段がある短距離路線が対象。パリのオルリー空港を発着する国内線のうち、リヨン、ナント、ボルドーの3路線が対象となり、運航していたエールフランスはこれらの路線から撤退済み。
このほかのオルリー発着の国内線や、日本などから国際線が乗り入れるシャルル・ド・ゴール空港を発着する国内線は対象外となる。
EU(欧州連合)の行政執行機関であるEC(欧州委員会)は、代替手段となる高速鉄道で2都市間を2時間30分以内に結び、目的地で最低8時間は過ごせる列車のダイヤを設定することを運航禁止の条件として求めた。
エールフランスは鉄道とのコードシェア(共同運航)を始めており、同じくエールフランス-KLMグループ傘下のKLMオランダ航空(KLM/KL)も、500キロ以下の路線は鉄道会社などとの連携を進めている。東京に置き換えると、500キロは岡山までに相当する距離にあたる。
日本の国内線幹線の場合、羽田を起点にすると伊丹が約1時間、札幌(新千歳)が約1時間30分、福岡が約2時間、那覇が約2時間30分となる。新幹線の場合、東京駅を起点にすると新大阪駅が約2時間30分、博多駅が約5時間、札幌駅は新函館北斗駅まで新幹線、同駅から札幌まで在来線特急を乗り継いで8時間弱になる。
また、エールフランスは150席以下の機材で経年機のエアバスA318型機とA319を、省燃費・低騒音機材のA220-300に置き換えを進めており、2019年12月に60機発注。2021年9月に初号機を受領している。
関連リンク
AIR FRANCE KLM Group
エールフランス航空
・エールフランス、A220初号機受領 A318など経年機置き換え(21年9月30日)
・KLM創立100周年、500キロ以下は高速鉄道と連携 エルバース社長「前に進まないと消える」(19年10月12日)