国土交通省航空局(JCAB)は5月17日、米国とシンガポール、タイの航空当局と共同で、世界初となる旅客機を使った次世代航空交通システムの試験飛行を6月に実施すると発表した。ボーイング787-10型機の飛行試験機「エコデモンストレーター・エクスプローラー」を使い、日本では成田空港に飛来する。
今回の試験飛行では、航空機の相互間隔を保ちながら、最適な経路と通過時刻を常に調整する次世代航空交通システム「TBO(Trajectory Based Operation:軌道ベース運用)」を、エコデモンストレーターを使って実施。JCABによると、TBOはより安全で快適なフライトを実現し、積乱雲や火山噴火など急な気象変化に対してスムーズに対応でき、消費燃料を削減することでカーボンニュートラルに貢献するという。
エコデモンストレーターの飛行ルートは、シアトル、成田、シンガポール、バンコクで、成田空港には6月12日午前11時ごろ着陸する見込み。離陸は13日午後1時ごろを予定している。
4カ国の共同プロジェクトは「MR TBO(Multi Regional Trajectory Based Operation)」と名づけ、今年で2年目。JCABは2009年4月から「将来の航空交通システムに関する研究会」を開いて「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」を策定し、TBOの実現を目指している。同会は産学官連携の取り組みで、JCABのほか国内の航空会社が加盟する業界団体「定期航空協会(定航協)」や研究機関、学識経験者などが参加している。
ボーイングのエコデモンストレーター・プログラムは、2012年にスタート。今回の試験飛行は、各地で可能な限り最大の混合率となる代替航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料、サフ)」を調達して飛行する。
関連リンク
将来の航空交通システムに関する研究会(国交省)
Boeing’s ecoDemonstrator program
Boeing
ボーイング・ジャパン
787-10「エコデモンストレーター・エクスプローラー」
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