神戸空港へ大型ヘリコプターを空輸したエアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の2号機(登録記号F-GSTB)が5月10日午後離陸し、フランスへの帰途についた。神戸空港の展望デッキには、平日ながら多くの人が集まり、出発前にはイルカが大きく口を開けたような貨物室にスタッフが並び、お辞儀をして日本を後にした。
空輸されたのは、海上保安庁が2021年に2機追加発注したエアバス・ヘリコプターズの大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」。神戸には同社の格納庫などの施設があり、前回2021年12月25日に神戸へ初飛来した際、警察庁向けのH225とともに運ばれてきたベルーガ専用の搭降載装置や、日本で手配した大型クレーンを使って降ろされた。
10日は神戸に午前9時39分ごろ到着。1機目のH225を降ろす作業は午後0時55分から始められ、午後1時24分から機体をつり上げて同38分に作業を終え、2機目も午後2時15分ごろから作業が行われた。空輸を終えたベルーガSTは午後6時27分に4Y8010便として出発し、同36分に滑走路「RWY27」から離陸した。神戸の滞在時間は9時間ほどだった。
ベルーガSTはエアバスの工場があるマルセイユで2機のH225を積み、現地時間6日に出発。マルセイユからエジプトのカイロ、アラブ首長国連邦のドバイ、インドのムンバイとコルカタ(旧カルカッタ)、ベトナムのダナン、台湾の台北(桃園)の6都市を経由し、10日早朝に関西空港へ立ち寄った後、神戸入りした。
関空と神戸への飛来は約1年4カ月ぶりで、日本への飛来は3度目。前回はロシア上空を飛行できたが、今回はロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて往復とも南回りで飛行している。
愛称のベルーガはシロイルカを意味し、現在は27年前の1996年1月に初号機が就航した中型旅客機A300-600RがベースのベルーガSTと、後継でA330-200F貨物機を母体とする2020年1月9日就航の「ベルーガXL(Beluga XL)」の2機種がある。
ベルーガSTは、これまで欧州各地で製造されるエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ用途で使われてきたが、後継機ベルーガXLへの置き換えが進んでおり、エアバスは特大貨物輸送の新規事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表。ベルーガSTの設計寿命が5万回のフライトであるのに対し、全5機の平均が1万5000回程度と余裕があることから、ヘリや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに運べる特徴を生かしたビジネスを立ち上げた。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン
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