神戸空港で5月10日、午前中に到着したエアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」(登録記号F-GSTB)から積荷のエアバス・ヘリコプターズ製大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を降ろす作業が始まった。海上保安庁が追加発注した2機で、エアバスの工場がある仏マルセイユから5日がかりで運んだ。
ベルーガはシロイルカを意味する愛称。ユーモラスな外観で、神戸へ2回目の飛来となったベルーガSTは中型旅客機A300-600Rをベースにしており、27年前の1996年1月に初号機が就航した。欧州各地で製造されるエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ特殊な輸送機で、主翼のように長尺の積荷も運ぶため、イルカが口を開けるように機体前方が大きく開く。貨物室は高さ7.1メートル、幅6.7メートル、長さ39メートルで、最大40トンの積荷を運べる。
ベルーガSTは、マルセイユでH225を積み込んで現地時間6日に出発。エジプトのカイロ、アラブ首長国連邦のドバイ、インドのムンバイとコルカタ(旧カルカッタ)、ベトナムのダナン、台湾の台北(桃園)の6都市を経由して日本へ向かい、10日に関西空港で通関を行ったとみられ、神戸には午前9時34分ごろ着陸し、同39分ごろ到着した。関空と神戸への飛来は、2021年12月25日以来約1年4カ月ぶりで、神戸にはエアバス・ヘリコプターズの格納庫などの施設がある。
1機目のH225をベルーガから降ろす作業は、午後0時55分から開始。ベルーガの前方貨物ドアが開くと、中から積荷のH225が姿を現し、クレーンで地上に降ろした。午後1時24分から機体をつり上げて、同38分に作業を終えた。10日中に2機目も降ろし、日本を離れる見通し。
ベルーガの日本初飛来は、1999年にドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」をパリから成田へ輸送したフライトで、前回は22年ぶりの飛来となり、今回で3回目となった。
ベルーガSTの後継となるA330-200F貨物機がベースの「ベルーガXL(Beluga XL)」が2020年1月9日に就航したことで、余剰となったベルーガSTを活用してヘリコプターや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに輸送できることから、エアバスは特大貨物輸送サービスの新事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表。前回ベルーガSTの3号機(F-GSTC)で警察庁向けH225を1機神戸へ輸送したフライトが、ABT初のミッションとなった。
*写真は8枚。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン
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