エアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の2号機(登録記号F-GSTB)が5月10日、関西空港に到着した。仏マルセイユからエアバス・ヘリコプターズの大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を2機輸送しており、10日午前中に神戸空港へ向かう見込み。関空と神戸への飛来は、2021年12月以来約1年4カ月ぶり。
*神戸に到着。記事はこちら。
ベルーガはシロイルカを意味する愛称で、ベルーガSTは中型旅客機A300-600Rをベースにしており、1996年1月に就航。欧州各地で製造されるA350をはじめとするエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ特殊な輸送機で、主翼のように長尺の積荷も運ぶため、イルカが口を開けるように機体前方が大きく開く。貨物室は高さ7.1メートル、幅6.7メートル、長さ39メートルで、最大40トンの積荷を運べる。
就航から20年以上が経過し、2020年1月9日には後継機となるA330-200F貨物機がベースの「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。余剰のベルーガSTがヘリコプターや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに輸送できることから、特大貨物輸送サービスの新事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表し、前回2021年12月25日に3号機(F-GSTC)が神戸へH225を1機輸送したフライトがABT初のミッションとなった。
神戸へ向かっているベルーガSTは、マルセイユでH225を積み込んで現地時間6日に出発。航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、マルセイユからエジプトのカイロ、アラブ首長国連邦のドバイ、インドのムンバイとコルカタ(旧カルカッタ)、ベトナムのダナン、台湾の台北(桃園)の6都市を経由し、関空のB滑走路(RWY06L)に午前5時38分ごろ着陸して、同50分ごろスポット(駐機場)に到着した。
ベルーガSTが前回2021年12月に飛来した際は、関空で積荷の通関を実施後、神戸へ向かった。神戸には積荷を降ろす資機材を前回運び入れて常備しており、10日中には日本を離れる。
今回神戸へ運ばれるH225は、海上保安庁が2021年に2機追加発注した機体とみられる。スーパーピューマは11トンクラスの大型ヘリで、定員は操縦士を除き最大19人。海保は国内最大のスーパーピューマの運用者で、国内では海保のほか防衛省や警察庁など官民合わせて34機が運用されている。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン
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