ユナイテッド航空(UAL/UA)は現地時間5月8日、デルタ航空(DAL/DL)が米国運輸省(DOT)に提出した羽田空港の国際線発着枠の柔軟な運用案「羽田ゲートウェイフレキシビリティ」について、DOTに意義を申し立てた。3年間に限り、羽田発着枠を配分されている米国の航空会社は、各社最大2枠まで米国内のどこからでも羽田に乗り入れられるようになる提案で、ユナイテッドは「強く反対する。デルタの身勝手な計画だ」と非難した。
ユナイテッドは「日米市場は回復している」として、「DOTの長年の手続きや前例を突然、変更する必要がある、とする意見に強く反対する。前例のない『パイロットプログラム』というデルタの身勝手な計画を拒否し、公共利益の評価に基づく権利配分を独自の公平な判断で継続すべきだ」と異議を申し立てた。
「ユナイテッドは5枠が配分され、すべて運航している。デルタは7枠のうち、ポートランドとホノルルを運航していないため、この提案に至ったのだろう」と指摘。パイロットプログラムとして3年間の期間を打ち出した点については、「デルタは『限定的な柔軟性』のために発着枠2枠を厳選した根拠も、3年間の試験期間が必要な理由も示していない。デルタが最も不振な羽田路線について、3年後にはより良い財務的リターンを得られると予測したことが唯一の根拠であると考えられる」と、根拠が不明確だと批難した。
また「デルタはすでにポートランド-羽田線の運航を再開しないかのような態度をとっている」との見方を示した。「デルタは羽田空港のゲートウェイの柔軟性に関する要求を以前否定しており、自らの過去のプロセスや選択を損なわないために一貫性を保つべきだ」と、羽田の発着枠に関する米国側の出発地点に関する主張に一貫性を求めた。
「デルタが提案する身勝手でリスクの高いパイロットプログラム方式を認めるのではなく、DOTはデルタがもはや十分に利用していないことが明らかな発着枠2枠について、航空会社選定手続きを実施すべきである」と、デルタの2枠について回収再配分をすべきと主張した。
デルタの提案に賛同したアメリカン航空(AAL/AA)の意見書については、「アメリカン航空がこの問題を真剣に検討しなかったことを示す、半ページの文章による『私も』という回答を却下するよう」DOTに求めた。
デルタは現地時間1日に提案。2019年に米国各社に配分された羽田発着枠は、デルタが最多の1日5枠(5往復)、ユナイテッドが4枠、アメリカン航空が2枠、ハワイアン航空(HAL/HA)が1枠で、DOTの監督の下、各社最大2枠までを米国内のどこからでも羽田に就航できるようにするもの(関連記事)。
アメリカンは賛同
・デルタ航空要望の羽田柔軟運用、アメリカン航空が賛同 米国どこからでも乗り入れ(23年5月8日)
デルタの提案
・デルタ航空、羽田便の柔軟性要望 需要低迷で出発地緩和案(23年5月6日)
デルタは羽田に1本化
・デルタ航空、成田撤退 41年に幕、羽田へ7路線集約(20年3月28日)
・デルタ航空、羽田一本化「都心に近い。それが利用者の声」 成田撤退で(19年10月3日)
・デルタ航空、成田撤退 羽田に20年3月集約、ソウル-マニラ開設へ(19年8月12日)
・羽田米国枠、デルタ航空が最多 米運輸省、12枠暫定割り当て 20年夏(19年5月17日)
・米運輸省、羽田昼間便を正式決定 ミネアポリスなど5路線(16年9月5日)
・デルタ航空CEO、羽田発着枠「JAL/ANAがJFKに着陸できないのと同じ」不快感示す(13年8月1日)