エアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」が、神戸空港へ約1年4カ月ぶりに飛来する。仏マルセイユからエアバス・ヘリコプターズの大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を2機輸送するもので、現地時間5月6日に4Y8002便(A300-600ST、登録記号F-GSTB)としてマルセイユを出発した。日本への飛来は3回目となる。
*神戸に到着。記事はこちら。
—記事の概要—
・南回りで神戸へ
・世代交代でベルーガST活用
南回りで神戸へ
エアバスは、ベルーガSTを活用した特大貨物輸送サービスの新事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表。ヘリコプターや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに輸送できる。
ABT初のミッションは、前回神戸へH225を1機輸送したフライトで、2021年12月25日に到着。日本へは1999年にドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」をパリから成田へ輸送して以来、22年ぶりの飛来となった。
航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、神戸へ向かっているベルーガSTは、マルセイユからカイロ、ドバイ、ムンバイを経由し、8日時点でインド・コルカタのネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港(旧ダムダム空港)に寄港している。前回はロシア上空を飛行できたが、今回はロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて南回りで飛行している。
関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)によると、ベルーガSTの到着は現時点で10日午前の予定であるものの、変更になる可能性もあるという。
世代交代でベルーガST活用
ベルーガはシロイルカを意味する愛称で、ベルーガSTは中型旅客機A300-600Rをベースにしており、1996年1月に就航。欧州各地で製造されるA350をはじめとするエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ特殊な輸送機で、主翼のように長尺の積荷も運ぶため、イルカが口を開けるように機体前方が大きく開く。貨物室は高さ7.1メートル、幅6.7メートル、長さ39メートルで、最大40トンの積荷を運べる。
エアバスは当初ベルーガによる特大貨物輸送を受託していたが、2010年代に入り民間機の生産レートが上昇後は自社の工場間輸送に注力している。一方で、ベルーガSTは就航から20年以上が経過し、2020年1月9日には後継機となるA330-200F貨物機がベースの「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。6機体制にする計画で、5機のベルーガSTを置き換える。
余剰となったベルーガSTを活用するABTは、航空、宇宙、軍事、石油・ガス開発、海事、大型機械、人道支援などの特大貨物輸送需要の取り込みを進めている。
今回神戸へ運ばれるH225は、海上保安庁が2021年に2機追加発注した機体とみられる。スーパーピューマは11トンクラスの大型ヘリで、定員は操縦士を除き最大19人。海保は国内最大のスーパーピューマの運用者で、国内では海保のほか防衛省や警察庁など官民合わせて34機が運用されている。
*今回の神戸到着記事はこちら。
関連リンク
BelugaST (Airbus)
Airbus
Airbus Helicopters
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン
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