LCC(低コスト航空会社)では初の東北就航となったピーチ・アビエーション(APJ/MM)の関西-仙台線が、4月12日で就航10周年を迎えた。当時は2011年3月11日に起きた東日本大震災の2年後で、被災者が関西地方に多く住んでいたことから、2012年3月1日に就航したピーチにとって優先度の高い新路線だった。
—記事の概要—
・430万人が利用
・東北冠した10号機「WING OF TOHOKU」
・A320neo就航初日に飛来
430万人が利用
10年前の就航当時、仙台はピーチの国内就航地としては6都市目で、機材はエアバスA320型機(1クラス180席)が8機、路線数は関西-仙台線を含めて国内線6路線、国際線3路線だった。
ピーチの白藤啓・仙台空港所長は「微力ではあるが復興の一助となることができれば、という想いで運航してきた」といい、仙台路線は関西、札幌(新千歳)、中部、那覇、台北(桃園)の5路線累計で約430万人が利用したという。
仙台就航初便となった10年前の乗客数は、関西発MM131便(A320、登録記号JA804P)が172人、仙台発MM132便(同)が163人。10年後の4月12日は仙台発関西行きMM132便(A320、JA819P)が88人で、乗客に記念品を贈呈し、仙台を午前9時16分に出発して午前11時3分に関西空港へ到着した。
就航当時は仙台空港にあった「パタパタ」ことソラリー式反転フラップの出発案内は、5年前の夏ダイヤ最終日となった2018年10月27日で引退。21年の歴史に幕を下ろし、多言語の新発着案内システムにその座を譲った(関連記事)。
東北冠した10号機「WING OF TOHOKU」
仙台就航から4カ月後の2013年8月12日には、ピーチの10号機となるA320(JA810P)が就航。関西-仙台線就航記念と、復興支援活動の一環として「WING OF TOHOKU(ウイング・オブ・東北)」と名付けられた。
東北6県の小中学生を対象とした愛称募集が行われ、福島県福島市の小学4年生、竹田和奏(わかな)さん(当時9)の愛称が選ばれた。愛称が付いたピーチの機体は、初号機(JA801P)の「Peach Dream(ピーチ・ドリーム)」に続いて2機目となった。
10機体制に到達した当時、ピーチのA320は8機が仏トゥールーズ製で、ハンブルク製は10号機が2機目だった。
A320neo就航初日に飛来
次世代機となるA320neoの初号機(JA201P、1クラス188席)が2020年10月25日に就航した際は、初便の関西発札幌行きMM103便に次いで、2便目の札幌発仙台行きMM414便、3便目の仙台発関西行きMM136便が仙台発着便として運航された。
ピーチのA320neoは2種類あるエンジンのうち、CFMインターナショナル製エンジン「LEAP-1A」を採用。同エンジンの低圧タービンブレードは、栃木県足利市のAeroEdge(エアロエッジ)が製造。米GEとともにCFMに出資する仏サフランからLEAP-1A向け部品の量産サプライヤーに選ばれ、日本の中小企業が直接量産契約を勝ち取った。
仙台空港を運営する仙台国際空港会社は、AeroEdgeの原材料輸入と完成品輸出、検品・在庫管理などを支援。A320neo就航初日は、ピーチとAeroEdge、仙台空港の関係者が就航を祝った。
◆ ◆ ◆
就航10周年を迎え、ピーチによると東北と関西間の親族訪問や、仙台から関空を経由して九州や海外への低価格旅行の需要が創出されたという。現在の仙台路線は関西と札幌、中部、台北の国内3路線と国際1路線の計4路線で、台北線は運休が続いており、東北へのインバウンド回復が待たれる。
*写真は12枚(提供写真除く)。
関連リンク
Peach Aviation
仙台国際空港
13年4月12日就航
・ピーチ、仙台線開設 LCC初の東北就航(13年4月12日)
10号機は「WING OF TOHOKU」
・ピーチ10号機、“東北の翼”が仙台へ(13年8月12日)
・ピーチ、10機目のA320がハンブルク出発 12日から商業運航へ(13年8月7日)
・ピーチ、10号機は「ウイング・オブ・東北」 福島の小学生が命名(13年8月7日)
A320neo
・ピーチA320neoのエンジン、ブレードは重さ半分 栃木・AeroEdge、仙台で初飛来祝う(20年11月3日)
・ピーチ、A320neo就航 燃費2割改善、リクライニング済みシート(20年10月25日)
・ピーチ、A320neoお披露目 座席間隔そのまま8席増、燃費2割改善(20年10月16日)