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2025年度に10機体制を目指す日本航空（JAL/JL、9201）傘下の中長距離LCC、ZIPAIR（ジップエア、TZP/ZG）。初の新造機となるボーイング787-8型機の5号機（登録記号JA850J、LN:1140、MSN:35439）が3月18日夜に成田空港へ到着し、現在計画している機材数の折り返し地点に達した。今年度（23年度）は7機体制になる見込みで、JALからの転籍機である6号機（JA827J）まで就航している。5号機はボーイングの品質問題で引き渡しが遅れたものの、コロナ後の需要回復に合わせて増機が進んでいる。
ZIPAIR初の新造機で初の特別塗装機となったJA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・ウォシュレットが5カ所
・7号機も新造機で同仕様
ウォシュレットが5カ所
ZIPAIRは当初、初号機（JA822J）と2号機（JA825J）をJALが運航していた初期受領機の改修、3号機と4号機を新造機とする計画だったが、前述の問題により変更。3号機（JA824J）と4号機（JA826J）もJALからの転籍機となり、5号機が初の新造機となった。機体をボーイングから購入するのは親会社であるJALで、ZIPAIRはJALから借り受ける。
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
新造機の座席数も従来と同じ2クラス290席で、フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat（ジップ・フルフラット）」が18席、エコノミークラス「Standard（スタンダード）」が272席となる。2社から選べるエンジンは、JAL機と同じ米GE製GEnx-1Bを選定している。
一方、5号機の客室は細かいところに違いが見られた。7カ所あるラバトリー（化粧室）は、これまでは前方5カ所のうち3カ所（L1・L2・R2ドア付近）がウォシュレット付きだった。ビジネスクラス客の使用を念頭に、JALが導入時に採用したものをそのまま活用したものだ。これが5号機では、前方5カ所はすべてウォシュレット付きになった。ZIPAIRの西田真吾社長によると、同社が特にリクエストしたものではなく、ボーイング側の都合のようだ。
ZIPAIRは機内食を注文販売で提供しており、ホットミール（温かい食事）は機内の電子レンジで温めている。同社によると、前方R1ドア付近にあるギャレー（厨房設備）に設置された電子レンジが、5号機は新型に変わっていたという。
787の初飛行は2009年12月15日で、ローンチカスタマーである全日本空輸（ANA/NH）への初号機（JA801A）引き渡しは2011年9月25日だった。航空会社への納入開始から数えただけでも12年が経過しており、現在はZIPAIRの機材となっているほぼ同時期にJALへ引き渡された機体と比べると、電子レンジのように客室装備の一部が変わってきている。
ZIPAIRの787-8シートマップ（同社サイトから）
ZIPAIRの特別塗装機JA850JのR1ドア付近の新型電子レンジ＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
これまではウォシュレット非装備だった5D席後方ラバトリー＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
従来からウォシュレットが装備されているR2ドア付近の右側ラバトリー＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
7号機も新造機で同仕様
現在ボーイングは、787をサウスカロライナ州ノースチャールストンの「BSC（ボーイング・サウスカロライナ）」のみで製造。5号機もBSCで現地時間3月17日に引き渡され、フェリーフライトの便名はJL8101便で、17日午後3時32分に出発。成田には18日午後7時にB滑走路（RWY34R）へ着陸し、同20分に804番スポットへ到着した。初の新造機とあって、操縦するJALのパイロットもZIPAIRが乗り入れる第1ターミナル側のA滑走路への着陸をリクエストしていたが、特段目立った混雑はなかったものの、到着する少し前に着陸運用に変わったB滑走路への着陸になった。
成田空港の804番スポットへ向かうZIPAIR初の787-8新造機JA850J＝23年3月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
初の新造機となった5号機は、3月22日の成田発ホノルル行きZG2便が初便。しばらくは通常塗装で運航してきたが、4月13日からは同社初の特別塗装機として運航が始まった。同日業務提携を発表したサザビーリーグ（東京・渋谷区）が展開するセレクトショップブランド「Ron Herman（ロンハーマン）」とのコラボレーションロゴを描いた機体で、夏ダイヤ最終日の10月28日まで運航する。
ZIPAIRが10機体制になる2025年度は、JALの中期経営計画の最終年度。西田社長は2022年末の当紙インタビューで、「その先の計画までは立ててないが、（年2機ずつ増やす）このぐらいのペースで成長していきたい」（関連記事1）と、2026年度以降も増機が可能であれば、今と同程度のペースでの成長は考えているという。一方で、フルフラットシートの好調さは想定を上回っていたようで、10機体制を構築後にどのような手を打ってくるのかは興味深いところだ。
新造機の5号機、改修機の6号機ときたので、今後受領する7号機（JA851J）は新造機になり、客室仕様は5号機と同じになる。現在の路線は成田－バンコク、ソウル（仁川）、ホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼの国際線6路線で、サンフランシスコ線を6月2日に開設し、マニラ線も夏ごろまでに就航を計画（関連記事2）。北米とアジアを結ぶ3国間流動や、日本へのインバウンド（訪日客）に照準を合わせるとともに、ハワイへの観光や燃油サーチャージが高止まりする中での出張需要など日本人の渡航需要も取り込んでいく。
＊写真は36枚。
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの上級席「ZIP Full-Flat」＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの上級席「ZIP Full-Flat」＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの上級席「ZIP Full-Flat」＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの上級席「ZIP Full-Flat」＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの上級席「ZIP Full-Flat」＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jのエコノミークラス＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jのエコノミークラス＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jのエコノミークラス＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ヘッドレストカバーにRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jのエコノミークラス＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron HermanとのコラボレーションロゴをL2ドア横にも描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron HermanとのコラボレーションロゴをL1ドア横にも描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの前脚＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850JのエンジンGEnx-1B＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850JのエンジンGEnx-1B＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850Jの主脚＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Ron Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850JのエンジンGEnx-1B＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港で出発を待つRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港を出発するRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港を出発するRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港を出発するRon Hermanとのコラボレーションロゴを描いたZIPAIRの特別塗装機JA850J＝23年4月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
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・ZIPAIR、ロンハーマンとコラボ 初の特別塗装機は新造機JA850J（23年4月13日）
・ZIPAIR、初の特別塗装機就航 ロンハーマンとハワイの自然保護訴求（23年4月14日）
5号機到着
・ZIPAIR、初の新造機が成田到着 初便は3/22予定（23年3月18日）
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