機内販売に興味はあるが、客室乗務員に声をかけるのは気が引ける──。通販大手のジャパネットホールディングス(長崎・佐世保市)と2022年に資本業務提携したスターフライヤー(SFJ/7G、9206)はこうしたニーズに応えようと、乗客がスマートフォンなどで機内の通販専用ネットワークに接続し、機内販売品を注文できるサービスを3月31日からスタートさせた。目玉商品で7万円(税・送料込み)の国産生ハムの「原木」などがすでに売れているという。
機内販売品は、機内誌に表示されたQRコードを読み込み、スマートフォンなどで機内の専用ネットワークに接続すると購入できる。QRコードは24時間有効で、降機後も購入できるようにした。専用ネットワークは現行機のエアバスA320型機(A320ceo)ではインターネットに接続せず、機内で完結する「イントラネット」になっているが、初夏に就航を計画している新機材A320neoではインターネットに接続する。
後日発送で、支払い方法が代金引換かPayPay払いの場合、客室乗務員に声をかけなくても購入できる。購入時のQRコードを降機後も24時間有効にしたのは、「家族に相談なく勝手に買うのは気が引ける」という乗客の声に応えたものだという。また、客室乗務員に対応してもらう従来からの決済であれば、クレジットカードも利用できる。
機内で注文・決済すると降機後に出荷・発送し、最短で翌日に届ける。配送先は自宅のほか、希望する届け先にも対応する。
取り扱うのは生ハムやクラフトビール、日本酒、バラ型のチョコなど8種類で、ジャパネットがスターフライヤーの機内限定で販売する商品が中心。生ハムは骨が付いたままの「原木(げんぼく)」で、原木を支える「原木台」とナイフをセットにして販売している。ジャパネットでは、スターフライヤーの顧客層の中心となるビジネス客の購入を見込む。
両社の提携では、機内販売のほかに機内番組と機内誌もリニューアル。いずれも3月1日に刷新した。
ジャパネットホールディングスの髙田旭人社長は、提携を発表した2022年9月1日の会見で「スターフライヤーは磨かなくても良いものを持っているが、それが伝わっていないと思う」と、サービス品質の高さをアピールしていくことが課題との認識を示した。
「航空会社は安全運航が一番重要なポイント。機内の物販やコンテンツは、そのコンテンツがあるからスターフライヤーに乗りたい、という世界まで作れるよう、我々が磨けたらいいなと思う」(髙田社長)と述べ、今回のような取り組みでスターフライヤーによる移動時間の価値向上につなげていく。
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スターフライヤー
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