空港, 解説・コラム — 2023年4月6日 23:06 JST

萩・石見空港、高周波「鳥ソニック」でバードストライク対策検証

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 島根県の萩・石見空港で、バードストライク対策として鳥が近寄らないよう、高周波を発する装置「鳥ソニック」の試験運用が行われている。岡山理科大学教育推進機構ロードエコロジー研究室の辻維周(つじ・まさちか)教授がT.M.woks(山梨・南都留郡)と共同開発したもので、辻教授によると設置翌日から鳥の侵入がほぼなくなったという。

萩・石見空港に設置された鳥ソニック(岡山理大・辻教授提供)

萩・石見空港に設置された鳥ソニック(岡山理大・辻教授提供)

 鳥ソニックの原型となった装置は、シカなどの野生動物が道路で自動車にひかれて亡くなる交通事故「ロードキル」を防ごうと開発された「鹿ソニック」。動物が嫌がる高周波を発生させ、自動車に近づかないようにする装置で、T.M.woksが開発し、ロードキル対策を研究してきた辻教授が2018年から協力している。高周波を発する鹿ソニックと鳥ソニックのほか、低周波を使ったイノシシ用「いのドン」、クマ用「くまドン」も誕生している。

 萩・石見空港には、ターミナルビル屋上に鳥ソニックを3月14日に1基設置し、午前7時から午後7時まで運用。農地に飛来するカラスや、海苔(ノリ)の芽を食べてしまうカモ対策として開発したものを、バードストライク対策に転用できるかを検証している。

 鳥ソニックの電源はソーラーパネルで、高周波を出すスピーカーは1ユニット2個入りのものを4ユニット設置。有効距離は120度200メートルで、周波数12khzから15khzの高周波をランダムに発射する。辻教授は「設置型はどうしても(動物や鳥に)“音慣れ”が発生しますが、周波数や発射パターンを変更して対応します。人体やペットなどにも影響はないことを確認しています」と話す。

 試験運用の開始から2週間ほどたったが「設置翌日から鳥の侵入がほぼなくなり、今ではバードスイープ(鳥の追い払い)も不要になったそうです」(辻教授)と、手応えを感じているといい、検証を続けている。

関連リンク
鹿ソニック(T.M.woks)
岡山理科大学教育推進機構
辻 維周(岡山理科大学)
萩・石見空港

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