日本航空(JAL/JL、9201)は4月3日、グループ合同の入社式を東京・羽田の格納庫で開いた。グループ37社1985人が集まり、閉式後は恒例となった折り紙ヒコーキ(紙飛行機)を飛ばした。
—記事の概要—
・新しい時代の先駆者
・採用再開で既卒入社も
・赤坂社長「若い方に航空業界知って欲しい」
新しい時代の先駆者
JALの入社式は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年のみオンラインで、2021年は格納庫での開催を上期入社式となる4月のみ再開。2022年度は4月と下期の10月とも格納庫で開かれた。
赤坂祐二社長は「長く辛い時代もようやく終焉を迎え、かつての日常が戻りつつある。JALグループはコロナ禍を通じて、1つのビジョンを見つけることができた。確かな安全といつも心地良い安心を感じられる社会、誰もが豊かさと希望を感じられる未来、これらを自分たちの手によって手繰り寄せていこうというものだ。航空の持続的発展や成長は、こうした社会や未来の下(もと)にある」とあいさつした。
「航空の真のプロフェッショナルになって欲しい。安全運航は多くの分野のプロフェッショナルが、それぞれの役割を果たすことで成り立っている。決して一人の力ではできない、同時に一人でも欠けてはできない仕事だ。ひとり一人が自らの役割を自覚し、多くの仲間と尊敬の念を持ち合って、ともに社会に貢献していく立派なプロに成長していって欲しい。ようやく訪れた今の解放感をエネルギーに変え、新しい時代の先駆者として社会を変え、未来を創るリーダーとして存分に力を発揮されることを切に願っている」と激励した。
新入社員を代表して、沖縄を拠点とする日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)の客室乗務員、上間涼音さんが宣誓。「私の学生生活においても、我慢を強いられ、思い描いていたものではなく、悩み迷う日々もありました。しかし、その厳しい環境の中でも『人と人との繋がりの大切さ』『変化する環境の中で挑戦していくことの大切さ』を学ぶ事が出来ました。お客さまやこれまで私たちを支えてくださった方々への感謝の気持ちを忘れず、常に謙虚な気持ちで日々挑戦し努力して参ります」と誓った。
入社式を終えた新入社員は、メッセージが書かれた紙飛行機を「明日の空へ、テイクオフ」のかけ声に合わせて一斉に飛ばし、恒例行事を体験した。
採用再開で既卒入社も
新入社員を代表し、3人が抱負を語った。JALの客室乗務員、芹澤せらんさんは、新卒時点ではJALの客室乗務員採用がなかったため、採用再開により他社から転職した。芹澤さんは「改めて空の旅の素晴らしさを感じていただけるような、明るくて親しみのある客室乗務員を目指したいです」と話した。
鹿児島を拠点とする日本エアコミューター(JAC/JC)の客室乗務員、山口詩桜音さんは、同社の客室乗務員としては9年ぶりの入社となった。山口さんは「鹿児島県出身なので地域に貢献し、地元のお客様の生活路線を支えるとともに、県外のお客さまに地元の魅力を発信していける客室乗務員になりたいです」と抱負を述べた。
「日本を代表する航空会社なので、より責任感を感じました」と入社式に出席した感想を話す髙原大輔さんは、JALグループで空港のグランドハンドリングを担うJALグランドサービス(JGS)に入社。「親と一緒に海外旅行に行った時に機内から見ていると手を振ってくださる方たちを見て、自分もスタッフになりたいと思って志すようになりました」と空の仕事を目指すきっかけを話した。
赤坂社長「若い方に航空業界知って欲しい」
赤坂社長は入社式を終えて、「これから時代が変わっていくし、変わらなければいけない。今入って来られた若い人たちに、社会や未来を自分たちで変えて欲しい」と新入社員にエールを贈った。
航空需要の急回復に伴い、特にグラハンなどの分野では人手の確保が航空会社を問わず課題になっている。赤坂社長は「非常に厳しい状況にある。航空の仕事の素晴らしさ、楽しさを若い方々にお伝えして、どんどん航空業界にチャレンジしてきて欲しい。航空業界も変わっていかなければならず、JALも飛行機を飛ばすだけではなく、いろいろな安全やサービスをお届けできる取り組みをしている。仕事の幅も楽しみも広がるので、ぜひ若い方に知って欲しい」と語った。
また、4月からの初任給引き上げについて「ひとり一人の生産性、価値想像力を上げていくだけでなく、それを賃金にきちっと反映していく流れを作っていきたい」(赤坂社長)と述べた。
*写真は19枚。
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