日本航空(JAL/JL、9201)傘下のZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)初の新造機となるボーイング787-8型機の5号機(登録記号JA850J)が3月18日夜、成田空港へ到着した。FAA(米国連邦航空局)の指示により、ボーイングが787の納入を一時停止していたため、到着が2週間程度遅れていた。
到着した5号機は、サウスカロライナ州ノースチャールストンの「BSC(ボーイング・サウスカロライナ)」で引き渡され、成田へのフェリーフライトはJL8101便として現地時間17日午後3時32分に出発。成田には18日午後7時にB滑走路(RWY34R)へ着陸し、同20分に804番スポットへ到着した。
初便は22日の成田午後5時発バンコク行きZG51便を予定しているが、整備などの都合により変更になる可能性があるという。
中長距離LCCのZIPAIRは当初、初号機(JA822J)と2号機(JA825J)をJALが運航していた初期受領機の改修、3号機と4号機を新造機とする計画だったが、ボーイングの製造問題などで変更。3号機(JA824J)と4号機(JA826J)もJALからの転籍機となり、5号機が初の新造機となった。機体をボーイングから購入するのは親会社であるJALで、ZIPAIRはJALから借り受ける。
5号機も座席数は従来と同じ2クラス290席で、フルフラットシートを採用したビジネスクラスにあたる「ZIP Full-Flat(ジップ・フルフラット)」が18席、エコノミークラス「Standard(スタンダード)」が272席となる。
現在の路線展開は、成田-バンコク、ソウル(仁川)、ハワイのホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼの国際線6路線。サンフランシスコ線を2023年度第1四半期(4-6月期)、マニラ線を第2四半期(7-9月期)に就航させる計画で、2023年度は787-8が7機体制になる。
787は2020年に胴体接合部の不具合が発覚し、その後も品質問題が指摘され、FAAがボーイングに対して品質改善を求めていた。ボーイングは2022年4月に認証計画をFAAに提出し、8月に納入を再開したが、サプライヤーによる前方圧力隔壁のデータ分析ミスが発覚したことで、FAAが今年2月23日に787の納入を停止するようボーイングに命じていた。その後、ボーイングがこれらの懸念に対処したことから、FAAは納入再開を認めた。
5号機もこの影響で、成田への到着が予定よりも2週間程度遅れた。ZIPAIR側が5号機の到着日や就航日を決める前に、ボーイングから引き渡しが遅れると連絡があったという。この影響で、3月15日の成田-ホノルル線(ZG2/1便)、19日と20日の成田-シンガポール線(ZG53/54便)の計3往復6便は、5号機の納入遅延により欠航となった。
*写真は5枚(運航実績は写真下に掲載)。
フェリーフライト(定刻/実績)
JL8101 チャールストン(17日15:30/15:32)→成田(18日18:50/19:20)
関連リンク
ZIPAIR
5号機受領計画や新路線
・ZIPAIR、成田-サンフランシスコ・マニラ就航へ 787は7機に(23年2月21日)
・ZIPAIR、初の新造機787今年度内受領へ 5機体制に(22年11月7日)
FAAが納入再開承認
・ボーイング、787の納入再開へ FAAが承認(23年3月12日)
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前編 片道3万円でバンコクへ
後編 バンコクまでネット無料
番外編 フルフラットシートで片道10万円
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
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