日本航空(JAL/JL、9201)は3月16日、退役するボーイング777-200ER型機による5月16日出発の国際チャーターフライトの詳細を発表した。使用機材は3月末に退役する初号機(登録記号JA701J)を予定しており、退役機は通常羽田空港から売却先の米国まで乗客を乗せない「フェリーフライト(回航便)」で運航するが、今回は片道チャーターの営業運航に切り替えて参加者を乗せる。JALによると、退役機を米国までチャーター便として運航するのは国内初だという。
チャーター便には、操縦担当とは別に案内役のパイロットが搭乗。コックピット内の業務や当日のフライトの様子などを運航中に解説する。目的地となるカリフォルニア州の上空をパイロットが考案した特別ルートで飛行するほか、航空機の保管先として有名なビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港の上空をローパス(低空飛行)し、世界中から集まった航空機が砂漠に眠る様子を案内するという。「飛行機の墓場」のひとつとしても世界的に有名な空港だ。
チャーター便は退役機が米国へ向かう際、羽田発ロサンゼルス行きとして運航。ツアーの日程は4日間または6日間で、16日から参加者を募集し、抽選で販売する。帰りは定期便で帰国するため、特別プログラムはない。取り扱いはJALのウェブサイトのみで、JALグループの旅行会社ジャルパックが企画・実施する。
旅行代金はロサンゼルス4日間、羽田発着で1室2人利用の場合、大人1人が往復ビジネスクラス利用時は窓側席が79万2000円、中央席が77万2000円、往復エコノミークラス利用では窓側席が59万7200円、窓側以外が57万7200円で、燃油サーチャージ込み。1次募集が16日から26日まで、2次募集が4月4日から6日まで。
JALは777-200ERを2023年度上期中に全機退役させる計画。2021年に退役済みの国内線機材777-200を含めると、JALの777-200/-200ERは今年9月までに27年の歴史に幕を下ろす。777-200ERはマクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-11型機の後継機として、2002年から11機導入した。エンジンはGE製GE90-94Bで、東南アジアやハワイなど中距離国際線を中心に投入されていたが、2021年に国際線の運航から離脱し、5機を国内線に転用した。現在は3機を運航している。
チャーターに使用予定のJA701Jは、フルフラットシートを斜めに配置するヘリンボーン配列を、JALでは初採用したビジネスクラス「スカイスイートIII」に最初に改修された機体。国際線新仕様機「スカイスイート777」としては、2016年6月18日に羽田-バンコク線に就航した。国内線に転じた現在は、ビジネスクラスのフルフラットシートをそのまま国内線の中間クラス「クラスJ」として運用しており、座席数は2クラス312席で、クラスJが26席、普通席が286席となっている。
関連リンク
ボーイング777-200ER ロサンゼルス行きチャーター便ツアー 4日間・6日間(JAL)
日本航空
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
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