日本航空(JAL/JL、9201)などが出資する独Volocopter(ヴォロコプター)は3月8日、大阪市内でeVTOL(電動垂直離着陸機)「VoloCity(ヴォロシティー)」の実物大モックアップを日本初公開した。eVTOLは「空飛ぶクルマ」とも呼ばれる電動航空機で、同社をはじめ多くのベンチャー企業が開発を進めており、2025年に開かれる大阪・関西万博で有人運航の実現を目指す。VoloCityのモックアップは、10日から12日まで一般公開される。
Volocopterは、2011年に航空史上初となる有人の電動垂直離着陸飛行を実施した機体メーカーで、「Volo」はラテン語で飛ぶことを意味する。VoloCityは2人乗りのeVTOLで、機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」を2024年にEASA(欧州航空安全庁)から取得することを目指している。有人飛行を実施する場合にTC取得は不可欠で、日本の国土交通省航空局(JCAB)からもEASAと同時進行でTCを取得できるよう作業を進めており、現在は欧州と日本のほか、米国とシンガポールでも審査が行われている。
VoloCityは、胴体の上から放射状に伸びた台座と、これにつながる円形の台座に18基のローターとモーターが設置され、座席は横並びに配置されている。巡航速度は時速90キロ、飛行距離は35キロで、満充電のバッテリー9個で15分ほど飛行できる。短距離の都市内飛行を想定した機体で、万博ではパイロット1人と乗客1人が乗り、将来的には自律飛行で乗客2人が乗れるようにする。今回お披露目したモックアップの客室は、自律飛行が実現した際の仕様を基にしているという。
すでにVoloCityは試験飛行を実施しており、VolocopterでCCO(最高商務責任者)を務めるクリスチャン・バウアー代表取締役は「安全で非常に静か。ローターが3つ止まっても安全に飛行できることを確認している」と述べ、既存のヘリポートやヘリパッド、充電器があれば運航できるとアピールした。同社は機体を広く販売するよりも、自らが「エアタクシー」の運航会社として、eVTOLを飛ばすビジネスモデルを計画している。
モックアップは、大阪・梅田両駅に隣接するグランフロント大阪の北館1階「ナレッジプラザ」に展示。一般公開は10日から12日で、時間は10日が午前11時30分から午後0時30分、午後2時30分から午後3時30分、午後5時から午後6時の計3回、11日と12日は午前9時から午後6時まで。Volocopterによると、機体を説明するツアーを考えているが、混雑状況などに応じて実施の可否を判断するという。
*機内などVoloCityの特集はこちら。
*写真は14枚。
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