「2020年1月以来3年ぶりに国際線の外国人客が100万人を超えた。中国は回復していないが、中国以外は(コロナ前の)8割くらいまで戻っている」。成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は、インバウンド(訪日客)の回復状況をこう説明した。
—記事の概要—
・アウトバウンド回復は3割
・バスは郊外路線課題
アウトバウンド回復は3割
関西空港や中部空港(セントレア)も国際線の回復が続いており、関空の国際線の外国人客は前年同月比69.50倍となる75万3219人で、コロナ前の5割超え。中部も外国人客は41.40倍の8万7900人と、水際対策の緩和でインバウンドは確実に戻っていると言える。
一方で、日本人旅客の回復はスローペースだ。円安やサーチャージ高騰、現地の物価高と、水際対策の緩和とは別の要因が足を引っ張り続けている。成田の場合、日本人客は前年同月比5.94倍の31万8097人と昨年と比べれば大幅に回復しているものの、2019年同月比では72%減と戻りが遅い。2019年の3割程度という現状について、田村社長は「アウトバウンドの回復はインバウンドほどではない」と、厳しい状況である点を指摘した。
「本当に影響が出るのは夏ダイヤだと思う」と語る田村社長は、日本人の海外旅行に対するマインドは、為替やサーチャージ高騰に加えて欧州はウクライナ情勢もあるとした。一方で、国内旅行は「全国旅行支援でブーストがかかっているところがある」と述べた。
「まだみんながマスクをしているし、やっと(3月)13日から個人の判断になる。(新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが)2類から5類になるのは5月だ」とし、「ある国ではコロナは終わった雰囲気だが、日本はなっていない」と指摘。日本国内のコロナに対する捉え方の変化も、アウトバウンドの戻りに影響するとの見方を示した。
バスは郊外路線課題
成田に乗り入れる航空会社からは、鉄道やバスなど「二次交通」がコロナ前の運行本数に戻ることも、重要な要素だとする意見が各社から聞かれる。
田村社長は「鉄道は戻っているが、バスは郊外路線を中心に回復が遅れている。アウトバウンド(の需要回復遅れ)があると思う」と、インバウンドのうち中国から需要回復が遅れていることよりも、日本人の渡航マインドの冷え込みが、バス会社の運行再開に対するハードルになっているのではと指摘した。
「バス事業者にも(運行再開を)働きかけており、需要喚起のためにプラスになることはなんでもやっていきたい」と語った。
成田空港
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関空・中部の1月
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・中部空港、旅客数2倍超53万人 国際線10万人超え2カ月連続=1月実績(23年2月25日)
機内のマスク着用
・機内マスク、3/13から「個人判断」に 政府方針受け前倒し(23年2月21日)