エアライン, 需要, 需要実績 — 2023年2月14日 05:55 JST

22年の航空需要、アジア国際線で回復顕著に 水際緩和で増加=IATA旅客実績

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 IATA(国際航空運送協会)が発表した2022年暦年の世界旅客輸送実績によると、国際線と国内線の合計は、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)が前年比39.8%増、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)が64.4%増となった。新型コロナウイルス前の2019年と比較するとASKは28.1%減、RPKは31.5%減で、コロナ前を依然として割り込んでいるものの、アジア太平洋を中心に回復傾向がみられた。ロードファクター(座席利用率、L/F)は11.8ポイント上昇(19年比3.9ポイント低下)の78.7%だった。

22年暦年の国内・国際線と国際線単体の世界旅客輸送実績(IATAの資料からAviation Wire作成)

–記事の概要—
事務総長「水際強化効果ほとんどない」
国内・国際線合計
国際線
国内線

事務総長「水際強化効果ほとんどない」

アジア国際線で回復が顕著となった22年の航空需要=22年9月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 世界各国では2022年に新型コロナによる渡航制限を段階的に撤廃し、渡航者の受け入れを再開。水際対策を緩和したことから、2022年初頭と比べると需要が強く回復した。一方で年末に中国本土で感染が急拡大したことから、各国は水際対策を強化した。

 IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は2022年の航空需要について「中国に対する一部政府の過剰反応がみられたが、需要回復は新年(23年)も続くと予想する」との見方を示し、「渡航制限や国境閉鎖は、人・物の自由な移動に依存する世界経済に悪影響を与える。水際対策の強化は、感染症のまん延を遅らせる効果がほとんどないことを各国政府が学ぶべきだ」と述べた。

国内・国際線合計

 対象は日本を含むアジア太平洋と、欧州、北米、中東、中南米・カリブ海、アフリカの6地域で、航空会社の国籍を基準に調査。国際線と国内線の合計を地域別で見ると、アジア太平洋地域はASKが16.8%増(49.4%減)、RPKが34.0%増(55.6%減)で、L/Fは9.2ポイント上昇(10.1ポイント低下)の71.8%だった。

 L/Fは6地域すべてで前年を上回った。欧州は13.5ポイント上昇(4.0ポイント低下)の81.2%、北米が9.8ポイント上昇(1.3ポイント低下)の83.5%、中東が23.9ポイント上昇(0.7ポイント低下)の75.4%、中南米・カリブ海が4.0ポイント上昇(1.3ポイント低下)の81.3%、アフリカが12.9ポイント上昇(0.5ポイント上昇)の72.3%だった。

 RPKから割り出した地域別の旅客輸送シェアは、アジア太平洋地域が22.4%(前年比5.1ポイント低下)、欧州が30.4%(5.4ポイント上昇)、北米が28.8%(3.8ポイント低下)、中東が9.8%(3.2ポイント上昇)、中南米が6.4%(0.1ポイント低下)、アフリカが2.1%(0.2ポイント上昇)となった。

国際線

 国際線は、全体のASKが85.2%増(19年比35.0%減)、RPKが2.52倍(37.8%減)。L/Fは21.0ポイント上昇(3.5ポイント低下)し78.5%だった。地域別で見ると、アジア太平洋地域はASKが2.29倍(65.2%減)、RPKが4.63倍(68.2%減)で、それぞれ大きく増加。L/Fは37.3ポイント上昇(6.9ポイント低下)し74.0%となり、回復が加速した。

 L/Fは6地域すべてで前年を上回った。欧州は16.7ポイント上昇(5.0ポイント低下)の80.6%、北米が20.7ポイント上昇(3.2ポイント低下)の80.8%、中東が24.6ポイント上昇(0.5ポイント低下)の75.8%、中南米・カリブ海が9.7ポイント上昇(0.6ポイント低下)の82.2%、アフリカが14.5ポイント上昇(0.4ポイント上昇)の71.7%だった。

 旅客輸送シェアのうち、国際線は全体の58.0%を占め、前年から20.3ポイント上昇。地域別では、アジア太平洋地域が8.9%(前年比5.8ポイント上昇)、欧州が26.4%(7.7ポイント上昇)、北米が8.7%(2.5ポイント上昇)、中東が9.4%(3.4ポイント上昇)、中南米が2.8%(0.7ポイント上昇)、アフリカが1.8%(0.3ポイント低下)で、アジア太平洋と欧州の回復が目立った。

国内線

 各地域の国内線は、全体のASKが4.3%増(15.7%減)、RPKが10.9%増(20.4%減)。L/Fは4.7ポイント上昇(4.7ポイント低下)し78.9%だった。地域別で見ると、アジア太平洋地域はASKが10.6%減(29.4%減)、RPKが8.4%減(40.3%減)で、中国政府が進めていたゼロコロナ政策が国内線の数値全体を押し下げた。L/Fは1.6ポイント上昇(12.7ポイント低下)し70.4%となった。

 L/Fは6地域すべてで前年を上回った。欧州は2.9ポイント上昇(3.2ポイント上昇)の85.1%、北米が6.8ポイント上昇(0.4ポイント低下)の84.7%、中東が13.0ポイント上昇(4.6ポイント低下)の68.6%、中南米・カリブ海が0.8ポイント上昇(1.7ポイント低下)の80.6%、アフリカが4.8ポイント上昇(0.7ポイント上昇)の75.5%だった。

22年暦年の国内線単体と国別の世界旅客輸送実績(IATAの資料からAviation Wire作成)

 日本と中国、インド、米国、ブラジル、豪州の6カ国を対象とした国別の実績のうち、日本のASKは43.4%増(11.5%減)、RPKが75.9%増(25.9%減)で、それぞれ大きく増加。L/Fは11.4ポイント上昇(12.0ポイント低下)の61.8%だった。

 L/Fは中国とブラジルを除き前年を上回った。中国は5.0ポイント低下(19.3ポイント低下)の65.3%、インドが10.2ポイント上昇(5.9ポイント低下)の81.4%、米国が6.7ポイント上昇(0.6ポイント低下)の84.7%、ブラジルが1.2ポイント低下(3.5ポイント低下)の79.2%、豪州が18.3ポイント上昇(1.1ポイント低下)の79.7%だった。

 旅客輸送シェアのうち、国内線は全体の42.0%を占め、前年比20.3ポイント低下。国別では、日本が1.2%(前年比0.1ポイント上昇)、中国が6.5%(11.3ポイント低下)、インドが2.0%(0.1ポイント低下)、米国が19.2%(6.4ポイント低下)、ブラジルが1.5%(0.4ポイント低下)、豪州が1.0%(0.2ポイント上昇)だった。

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