中国の航空当局CAAC(中国民用航空局)はボーイング737 MAXの運航再開を認め、同国最大の中国南方航空(CSN/CZ)が再開初便を現地時間1月13日に運航した。2機の737-8(737 MAX 8)で計4便を運航した。737 MAXは2度の墜落事故を起こしたことで、2019年3月から運航停止が続いていたが、米国や欧州では2020年以降運航を再開している。
中国で737 MAXの運航再開初便となったのは広州発鄭州行きCZ3960便で、2017年11月27日に引き渡された初号機(登録記号B-1206)を投入。中国南方航空によると、CZ3960便は本社のある広州(中国南部・広東省)を13日午後0時46分に離陸し、鄭州(中部・河南省)へ午後2時45分に到着した。その後は折り返しとなる鄭州午後3時55分発の広州行きCZ3393便も同機で運航された。
再開初日の13日は、2機の737-8を運航。残る1機(B-1127)は、広州午後2時発の武漢行きCZ8726便と、折り返しとなる武漢午後5時30分発の広州行きCZ3347便に投入された。
中国南方航空は、2015年12月17日に737 MAXを50機発注。すべて標準型の737-8となる見込みで、これまでに24機を受領済み。座席数は178席で、国内線仕様は3クラス(ビジネス4席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー150席)、香港・マカオ・台湾・国際線仕様は2クラス(ビジネス4席、エコノミー174席)となる。
737 MAXは737の発展型で、CFMインターナショナルの新型エンジン「LEAP-1B」を採用。翼端には新型ウイングレット「アドバンスト・テクノロジー・ウイングレット」を備え、客室内装はLED照明や大型の手荷物収納棚など、787と同等のものを取り入れた「ボーイング・スカイ・インテリア」を採用している。
737 MAXの事故は、2018年10月から2019年3月にかけて2件発生。2018年10月29日にインドネシアのライオン・エア(LNI/JT)のジャカルタ発パンカルピナン行きJT610便(737-8、PK-LQP)が、2019年3月10日にはエチオピア航空(ETH/ET)のアディスアベバ発ナイロビ行きET302便(737-8、ET-AVJ)が墜落した。いずれも新たに採用した737 MAXの失速防止システム「MCAS: Maneuvering Characteristics Augmentation System(操縦特性向上システム)」が要因だった。
CAACはエチオピア航空機墜落翌日の2019年3月11日に、中国国内の航空会社に737 MAXの飛行停止を指示。中国を皮切りに、各国の航空当局が737 MAXの飛行停止を命じ、12日にEASA(欧州航空安全庁)、製造国である米国のFAA(米国連邦航空局)は13日に命令した。日本では当時国内に運航する航空会社がなく、海外の航空会社も日本路線に投入していなかったが、14日には国土交通省航空局(JCAB)も飛行停止を指示した。
運航再開を認めたのはFAAがもっとも早い2020年11月18日で、翌12月からアメリカン航空(AAL/AA)などが再開。EASAも年が明けた2021年1月27日には運航再開を認め、日本を含む各国の航空当局も再開を順次承認していたが、CAACは判断を見送っていた。
関連リンク
中国南方航空
Boeing
ボーイング・ジャパン
・中国南方航空、737 MAXを50機発注へ 現行737も30機(15年12月18日)
FAAの運航再開承認と再開
・FAA、737MAXの運航再開承認 納入再開も(20年11月19日)
・アメリカン航空、12月から737MAX運航再開 マイアミ発着(20年11月20日)
各国の再開承認
・737MAX、サウジでも運航許可 国内導入ゼロ(21年3月3日)
・737MAX、豪州でも運航停止解除 国内未導入(21年3月1日)
・737MAX、欧州でも再開承認 EASAと英CAA(21年1月29日)
・737MAX、カナダでも再開承認 20日に禁止解除(21年1月19日)
・737MAX、ブラジルでも再開承認 ゴル航空のみ導入(20年11月26日)
2度の墜落と試験終了まで
・FAA、737MAXの飛行試験終了(20年7月2日)
・737MAX、生産再開 5カ月ぶり(20年5月28日)
・FAA、ボーイングに制裁金20億円検討 737MAXと737NG(20年3月9日)
・FAA、737 MAXの落雷対策指示 エンジン2基とも停止する可能性(20年2月27日)
・737 MAX、今年半ば運航再開目指す ボーイングが声明(20年1月22日)
・737MAX、1月から一時生産停止 400機保管中(19年12月17日)
・737 MAX、MCASのソフトウェア改修完了(19年5月18日)
・737 MAX、墜落2件ともMCAS不具合 月産42機に減産へ(19年4月7日)
・エチオピア政府、737 MAX墜落で暫定報告書公表 ボーイングにMCAS調査要求(19年4月5日)
・仏事故調、737 MAX墜落「明確な類似性」 エチオピア機とライオンエア機の飛行記録解析(19年3月19日)
・737 MAXの墜落調査、仏で開始 エチオピアが米国に不信感、ボーイングは納入停止(19年3月15日)
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・737 MAX、欧州で飛行停止 EASAが指示(19年3月13日)
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・エチオピア航空の737 MAX墜落か ナイロビ行きET302便(19年3月10日)
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