日本航空(JAL/JL、9201)は1月10日、日本から出発する国際線中長距離線のプレミアムエコノミーとエコノミークラスの機内食をリニューアルした。若手シェフがSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)をテーマとする「未来の食材」を使ったメニューを監修し、食器は紙製に変えることで、機内の使い捨てプラスチック削減を進める。
—記事の概要—
・「蓮根のおこわ」と「ビーフシチューオムライス」
・紙製容器・フタで廃プラ削減
「蓮根のおこわ」と「ビーフシチューオムライス」
これまで同クラスのメニューは、食プロデューサーの狐野扶実子氏がサイドディッシュ(前菜)、メインディッシュ(主菜)を若手シェフを発掘する競技会「RED U-35」のファイナリストが担当していたが、今回からは前菜と和洋2種類の主菜まで1人のシェフが監修するようにし、ベトナム料理、イタリア料理、日本料理の新進気鋭の3人が、3カ月交代で担当する。
1月10日から4月30日まで担当するシェフは、広島県のベトナム料理店「CHILAN」のドグエン・チランさん。和食のメインは「若鶏と蓮根のおこわ 柚子の香り」で、日本だけでなく、チランさんのルーツであるベトナムでもポピュラーな「おこわ」を取り入れた。ユニリーバと英国WWF(世界自然保護基金)が安全性や栄養価などの観点から選定した「未来の食材50」の一つで、ベトナムの国花でもある「蓮」を咲かせる蓮根(レンコン)をはじめ、枝豆、舞茸、人参、銀杏などのさまざまな食材を、食感の違いを楽しめるサイズに切り分けた。
洋食のメインは「ビーフシチューオムライス」。チランさん自身が「好きな洋食トップ2」だというビーフシチューとオムライスを組み合わせ、枝豆で食感を、パプリカで色味を、アクセントにはココナッツオイルを使い、見た目の華やかさと味わいの奥行きが増すようにした。また、子供がおいしく野菜を食べられるよう、人参ライスを取り入れた。
日本人になじみ深い柴漬けをアクセントにすることで、食感の変化だけでなく外国人が帰国する際、漬物を通じて日本を感じてもらえるようにしたという。
前菜は和洋共通で3点。ベトナムを代表する海産物である海老に梅のアクセントを添えた「冷製えびしんじょ」、日本でレモンの生産量が全国1位で、チランさんのレストランの所在地でもある広島県を感じられる「さつまいものレモン煮」、「未来の食材50」からオクラとゴマを使ったヘルシー料理「オクラの白和え」を用意した。
また、今回からシェフがメニューに込めた思い、開発の裏側などを紹介する動画を制作。エコノミークラスでは機内食が手元に来るまでに時間がかかる席があることから、和洋2つのメニューの違いなどを見て、選ぶ際の参考にしてもらう。動画は機内のモニターのほか、YouTubeでも公開している。
第2弾となる5月1日から7月31日までを担当するシェフは、イタリアンの京都府「cenci」の横山耕介さん、第3弾の8月1日から10月31日までは、日本料理の石川県「一本杉 川嶋」の川嶋亨さんが担当する。
提供路線は、羽田・成田発がシカゴ、ダラス、ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、サンディエゴ、バンクーバー、ロンドン、パリ、フランクフルト、ヘルシンキ、モスクワ、シドニー、メルボルン、シンガポール、クアラルンプール、デリー、ベンガル―ル、ジャカルタ、マニラ、バンコク、ハノイ、ホーチミンシティー行き。関西発はロサンゼルス行き。
紙製容器・フタで廃プラ削減
1月10日からは、メインディッシュ用の容器とフタを紙製に変更。従来品と変わらない容量と強度で、これに先駆けてトレーマットは2022年8月から紙製のものを導入している。今年秋ごろにはすべての対象路線へ展開できる見通しで、2019年度実績比でメインディッシュ用の容器とフタで年間約150トン、トレーマットで約25トンの計175トン相当の使い捨てプラスチック削減を目指す。
容器のフタには、和食用は箸(はし)、洋食用はフォークとナイフのイラストを入れ、和食に接した機会が少ない外国人など、誰にでもわかりやすくした。
サイドディッシュやデザート用の小鉢のフタとアルコール飲料用のプラスチックカップは、再生プラスチック製品に切り替えを進めている。従来品は新規石油由来のプラスチック製品で、再生プラを順次導入しており、今年9月ごろまでに展開を終える見込み。使い捨てプラスチック削減効果は年間311トンになる見通し。
今回のリニューアルは国際線中長距離路線のエコノミーとプレミアムエコノミーだが、2022年7月21日からは、羽田-ソウル(金浦)線のエコノミークラスのメニューを刷新。従来のトレーによる提供を改め、コンパクトな大きさのペーパーバッグに包んだ軽食を手渡す方式に切り替えることで、これまでと比べてプラスチック容器の使用量を削減し、テーブルの省スペース化にもつなげた。
JALグループは、2025年度までに機内や空港のラウンジで「新規石油由来の使い捨てプラスチックを全廃」する経営目標を掲げている。
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日本航空
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