米空軍は、第430遠征電子通信飛行隊(430th EECS)がE-11Aの新造機(21-9045)を受領し、運用を始めたと発表した。空軍はBACN(戦域空中通信端末)を搭載した同機を「空のWi-Fi」と呼んでおり、陸海空の通信支援を行う。
E-11Aは、ボンバルディアのビジネスジェット機グローバル6000を母体とした軍用機。現地時間1月7日の発表によると、E-11Aの新造機は、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に2022年12月16日に到着した。
BACNにより、地上部隊などが通信する際、空中で電波を中継することで山や不整地、距離によって生じる通信障害を克服して通信範囲を広げたり、異なる無線周波数を変換できる。
2007年から4機のE-11Aが納入され、BACNの運用は2008年に開始されたが、2020年1月27日にアフガニスタンで1機(11-9358)がエンジントラブルで墜落して失われた。米空軍は2021年6月1日に、最大6機のグローバル6000を発注する契約をボンバルディアの特殊航空機部門の米国子会社であるリアジェットと締結した。
新造機が運用を開始するまでは、BACNは有人機である3機のE-11Aと、4機の無人機EQ-4B「グローバルホーク」の計7機で運用されてきた。EQ-4BはRQ-4Bのブロック20を改修した。BACNを使用することで、地上部隊と航空部隊が同じ画像を見て状況を判断できる。
空軍によると、E-11Aは中東で高い任務成功率を示し、戦略的優位性をもたらすことから、ジョージア州のロビンズ空軍基地に新たなE-11AのBACN飛行隊を2月に創設する。これにより、自国の飛行隊と派遣飛行隊という伝統的なモデルで重要な役割を果たすことになるという。
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U.S. Air Force
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