エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2022年11月9日 20:35 JST

ピーチ、座席間隔広いA321LR公開　関空－バンコク12/27開設

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　ピーチ・アビエーション（APJ/MM）は11月9日、12月に開設する関西－バンコク（スワンナプーム）線に投入するエアバスA321LR（登録記号JA902P）を関西空港で公開した。国内初導入の機材で、すでに国内線で運航しているが、国際線はバンコク線が初投入になる。大手の国内線機材とほぼ同じシートピッチ（座席間隔）や充電用USB端子を採用しており、値ごろ感と快適性を両立させた。

関空でA321LRを披露するピーチの客室乗務員＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・一番広いエリアは？
・広いシートピッチで差別化
＊初便の様子はこちら。

一番広いエリアは？

　A321LRは、ピーチが2012年3月の就航時から使用しているA320ceo（従来型A320)と胴体長を比べると約6.9m長く、航続距離もA320ceoの6200kmより1200km延びて7400kmになった。LRは「Long Range（ロングレンジ）」の略で、これまでピーチの路線は最長で片道4時間前後だったが、A321LRであれば関西－バンコク線のように6-7時間程度の路線も開設できる。

関空でA321LRを披露するピーチの客室乗務員＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空でA321LRのシートピッチを説明するピーチの森CEO＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　座席数は1クラス218席で、A320ceoの1クラス180席や、低燃費・低騒音の新型エンジンを搭載し、2020年10月に就航したA320neo（1クラス188席）よりも約1.2倍多い乗客を運べる。

　シートピッチはA320ceoの28インチ（約71cm）と比べ、約5-10cm広い30-32インチ（約76-81cm）で、A321LRは座席のあるエリアによりピッチが異なる。

　1列目から8列目までは78cm、8列目から17列目までが76cm、非常口を挟んで進行方向左側の18列目から左最後尾37列目までが78cm、右側は18列目から26列目までがもっとも広い81cm、非常口を挟んで27列目から右最後尾36列目までは78cmとなる。また、スマートフォンなどの充電に使えるUSB端子の形状は、USB Type-Aを採用した。

足もとが広いピーチのA321LR＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチのA321LRのシートマップ（同社提供）

広いシートピッチで差別化

　ピーチはA321LRを3機導入する予定で、すでに2機は就航済み。国内初導入で、当初は今年1月に就航する計画だったが、年末年始に悪天候が生じた際などに機材運用を柔軟にするため、昨年12月27日に急遽前倒しした。2機目（JA901P）は6月7日に就航し、2機ともバンコク線開設までは国内線のみの運航となる。

関空で披露されたピーチのA321LR＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチのA321LR JA902Pの充電用USB端子＝22年11月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　2023年3月25日までの冬ダイヤ期間中、関西－バンコク線以外には成田－福岡線、関西－札幌（新千歳）線、那覇線、宮崎線、福岡－札幌線にA321LRを投入し、国内線でも従来機より広いシートピッチを安価な運賃で提供する。

　A321LRについて、ピーチの森健明CEO（最高経営責任者）は「国内線で利用されたお客さまからは、シートピッチが広いというお声をいただいた。性能的には（バンコクより）もう少し飛べるが、営業的には適度な距離。競争が激しい国際線の路線もシートが良いのでマッチする」と、短距離国際線でシートピッチが狭い競合他社との差別化につながると語った。

【足もと広々】ピーチA321LR JA901Pの機内【4K】

　ピーチ初の中距離国際線になる関西－バンコク線について、「コロナ前は（ピーチ全体の）約40％が国際線のお客さまで、もう少し遠くからも日本へお越しいただくことも十分可能と判断した」と述べた。運航スケジュールは関西発MM91便が午後7時30分発、到着のMM92便は午前8時55分着で、ピーチの国内線との乗り継ぎも考慮し、関空発着13路線と組み合わせた旅行を組めるようにした。

　森CEOは「バンコク線は日本からのアウトバンドも取りたい」と語り、東南アジアからの訪日需要だけでなく、快適性を武器に日本発の渡航需要取り込みも重視していく。

＊写真は13枚（運航スケジュールは写真下に掲載）。