エアライン, 解説・コラム — 2022年10月31日 13:01 JST

ピーチ森CEO、国内線はコロナ前水準に 国際線は徐々に再開

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 ピーチ・アビエーション(APJ/MM)の森健明CEO(最高経営責任者)は10月31日、国内線の旅客需要が年末年始にはコロナ前の水準に戻るとの見方を示した。国の観光支援策「全国旅行支援」を使った予約が徐々に増えており、国内旅行需要を押し上げているという。一方、国際線は中国のコロナ対策によるところもあり、「年度末まで様子を見ながら判断していく」と述べた。

羽田空港で取材に応じるピーチの森CEO=22年10月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
国内線「年末年始には戻るのでは」
国際線「年度末までは様子見」

国内線「年末年始には戻るのでは」

 政府は10月11日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の水際対策を緩和。同時に全国旅行支援もスタートした。一方、前回の支援策「Go To トラベル」が国主体の運用だったのに対し、全国旅行支援は各自治体主導であるなど制度の枠組みが異なることで、利用者がわかりやすい予約システムを旅行会社などが構築するのに時間がかかった。

全国旅行支援のほか渋谷で開催した「押売り旅くじ」などで旅行需要を喚起するピーチ=22年10月18日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 森CEOは、全国旅行支援の効果について「正直申し上げるともう少し(予約数が)跳ね上がると思っていたが、ちょっと低い。旅行代理店さんの準備の関係もあったと思う。今は全国旅行支援を組み込んだ商品を簡単に予約できるレベルに引き上げてくださっているので、ここ数日ぐらいから11月から12月の国内線予約はかなり入ってきている」と語った。

 「このまま続くと、年末年始にはコロナ前の状態に戻るのではないかと期待している」と述べた。ピーチは全国旅行支援を活用するほか、自社の取り組みとして行き先を選べない「旅くじ」などで旅行需要を喚起している。

国際線「年度末までは様子見」

 ピーチは8月から国際線を再開し、31日からは羽田発着便も再開した。1路線目のソウル線は、羽田発着とも初便の搭乗率は95%台とほぼ満席になった。日本人と外国人の比率について森CEOは「おおむね半分ずつになってきた。8月に韓国政府によるビザ免除で日本からの、10月の日本政府の入国制限緩和で韓国からのお客さまが非常に増えており、予約が急増していて期待している」と語った。

搭乗率が95%台となったピーチの羽田発国際線再開初便のソウル行きMM809便=22年10月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 9月に再開した台北路線は「当初は台湾入国後の隔離がまだ残っていたので予約はあまり多くなかったが、その後の台湾側の段階的な緩和、10月からは日本側も緩和されたことで、10月に入ってからお客さまが増えている状況だ」と述べた。

 森CEOは8月の国際線再開時に「飛ぶ意思表示をしないと、相手(就航国の政府)も動いてくれない」と述べ、就航先の入国規制緩和前から路線再開を進めてきた。「ピーチ1社が頑張っても、なかなか国を動かせないが、結果的に非常に良いタイミングで就航できた。冬ダイヤから日本政府も各国政府も大幅に規制を緩和すると読んでいたので、それより少し前倒しで運航を再開したが、予想通りになった」という。

 一方で、国際線の今後の再開見通しについては、「年度末までは様子見で、徐々に増やしていく」と述べた。「国際線の運航規模はそれほど大きくなく、年度末の段階でもコロナ前の半分もいかないと思う。(便数は年度末時点で)コロナ前には戻らないが、飛んだ便は搭乗率が8割から9割くらいまで期待できる」という。

 焦点は中国政府の入国制限緩和だ。「上海と香港は(路線再開の計画を)出していないが、入国規制がまだあるのでお客さまが乗ってくださる状況ではない」といい、「しっかり生産体制を整えて、国際線は徐々に増やしていく形になるだろう」と語った。

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