全日本空輸(ANA/NH)は10月19日、国際線機内食のうちヴィーガン、ベジタリアン、グルテンフリーのメニューを11月1日からリニューアルすると発表した。フレンチシェフの髙山英紀氏と、ANAグループで機内食を手掛けるANAケータリングサービス(ANAC)のシェフが共同開発し、ヴィーガンやベジタリアンではない乗客が食べてもおいしいと感じる機内食に仕上げた。
ヴィーガン食は肉・魚・卵・乳製品・ハチミツなど動物由来の食品は一切使用していない食事、ベジタリアン食は肉・魚は使用していないが、卵・乳製品は含まれている食事となり、グルテンフリー食はグルテンを含む小麦などの穀物類やこれらを原料とした食品を使用していない食事。3つのメニューは、食事制限がある人向けや子供向け、宗教食などの「特別機内食(スペシャルミール)」に含まれる。
ANAによると、全体の約7%の乗客が特別機内食を注文するが、多くは子供向け。ヴィーガン食やベジタリアン食は、健康志向の高まりと共に最近注文が増えているという。
3メニューとも前菜とメインを中心に構成。11月からのヴィーガン食は、前菜が「カリフラワーと豆腐のムース 野菜のジュレ掛け」と「生春巻と とんぶりドレッシング」、メインが「グリーンカレーと五穀米」で、グリーンカレーにはココナッツミルクをベースにガラムマサラ、青ピーマン、ホウレンソウ、隠し味にバナナを入れ、ヴィーガンではない人が食べても味付けがあっさりしすぎないものを目指した。
ベジタリアン食は、前菜が「オニオンとセロリアックのムース」と「野菜のトルティーヤ 人参のサルサソースで」、メインが「豆腐のラザーニァ仕立て ごぼうと胡麻の香り」で、大豆ミート、ホウレンソウ、ゴボウと胡麻のフィリング、豆腐を重ねラザーニァ風に仕上げた。カシューナッツのペーストと、粒マスタードが味のポイントで、付け合わせは米粉と野菜のパスタで、トマトソースを添えた。
グルテンフリー食は、前菜が「ボイル海老とカリフラワー 豆腐のムース」と「蛸と野菜のセビーチェ」、メインが「チキンのクリーム煮 キャロットバターライス添え」。パンは米粉パンを添える。
髙山シェフは、「ヴィーガンやベジタリアンではない人が食べてもおいしい食事は新しい試みではないか。おいしくて食べても身体の負担が少なく、誰に対してもおいしく、日本の食材を楽しめるようにした」という。タマネギを使えないなどの制約がある中で野菜を多く使い、髙山シェフのこだわりである噛(か)んでうま味が出るメニューに仕上げた。
ANA CX推進室 商品企画部の眞野知彦部長は「機内食でも新たな価値を生み出す工夫をしている。社会の中でさまざまな価値観があり、より嗜好(しこう)にあった食事を提供していきたい」と述べ、「食のユニバーサル化」を進めていくという。
3つの特別機内食は、ビジネスクラスやエコノミークラスなど搭乗するクラスにより、盛り付けや食器が異なる。搭乗便出発予定時刻の24時間前までにANAのウェブサイトか電話窓口で予約する必要がある。
*写真は7枚。
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