エアバス, エアライン, 機体, 空港 — 2022年10月6日 20:00 JST

ピーチ、バニラ塗装A320退役　黄色い翼で1年7カ月飛ぶ

共有する:

　ピーチ・アビエーション（APJ/MM）は、2019年に統合したバニラエアの黄色い塗装を唯一まとった特別塗装機（エアバスA320型機、登録記号JA08VA）を、10月6日の宮崎発関西行きMM190便を最後に退役させる。バニラから移管されたA320の1機で、当初はほかの機体と同じく改修作業後はピーチ塗装で復帰する予定だったが、コロナの影響で作業工程が見直しとなり、1機だけバニラ塗装のまま約1年7カ月飛び続けた。

関空を出発するバニラ塗装のピーチのA320 JA08VAによる奄美行きMM205便をビッグハンドを手に見送る社員＝22年10月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　最終日の6日は当初、関西－那覇、奄美、宮崎の3路線を1往復ずつ計6便運航予定だったが、機材繰りで最終的に関西－石垣、奄美、宮崎の3路線を1往復ずつ運航することになった。

　JA08VAはバニラの8号機で、2015年2月7日に仏トゥールーズで引き渡され、同月10日に成田空港へ到着した。ピーチとバニラが統合後、2019年11月から海外でピーチ仕様に改修する作業が始まり、関空へはピーチ塗装で戻る予定だったが、コロナの影響で2020年12月11日にバニラ塗装のまま関空へ到着。機体を見たファンからは、バニラのデザインのまま運航を希望する声がピーチに多く寄せられ、バニラ塗装で2021年3月5日に復帰した。

関空を出発するバニラ塗装のピーチのA320 JA08VAによる奄美行きMM205便＝22年10月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　復帰時は元バニラのピーチ社員が機体のデザインを考え、左側にアマミノクロウサギや大島紬など奄美大島をイメージしたイラスト、後方は左右ともバニラのデザインを残し、前方右側はピーチの通常デザインを踏襲した。

　奄美大島はバニラがLCCとして初めて就航したことから、JA08VAのデザインに取り入れた。今年3月に奄美市の鹿児島県立大島高校が選抜高等学校野球大会（センバツ）に出場した際は、臨時便にJA08VAが投入された。

　運航最終日の6日は、3路線を1往復ずつ6便運航する中に関西－奄美線を入れた。奄美行きMM205便が午後2時13分に乗客143人（幼児4人含む）を乗せて出発する際は、バニラが新路線就航時などに使用していた「ビッグハンド」を使い、ピーチの社員が見送った。折り返しの関西行きMM206便は乗客123人（幼児1人含む）を乗せ、奄美を午後4時40分に出発した。

　バニラエアは、持株会社化前の全日本空輸（ANA/NH）がマレーシアのエアアジア（AXM/AK）との合弁で立ち上げたLCCのエアアジア・ジャパン（第1期）が前身。ANAグループの持株会社であるANAホールディングス（ANAHD、9202）が100％出資するLCCとして2013年に再始動し、同年12月21日から2019年10月26日まで運航。ピーチとバニラはともにANAHD傘下で、2019年11月1日に統合を終えた。

　最終便の関西行きMM190便は、宮崎を午後8時55分ごろ出発する見通し。

＊写真は12枚。