日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長は10月5日、国内線は年内にもコロナ前の水準に回復する可能性が見えてきた一方、国際線は中国・ロシアを除き2025年ごろになるとの見方を示した。
世界的に空港の人手不足が起きているためで、飛行機の牽引や貨物の搭降載などの「グランドハンドリング(地上支援)」業務の人材確保が各国の空港で進むかどうかが国際線回復の焦点になる。また、日本固有の課題として企業の海外出張自粛が続いていることが、海外のビジネスシーンで「日本人がいない」(赤坂社長)状態につながっており、すでにコロナ前の状態に戻っている海外勢と比べて出遅れる危険性を指摘した。
—記事の概要—
・緩和で予約3倍
・国内線「年内、遅くとも年度内」
・海外のビジネス「日本人だけいない」
緩和で予約3倍
政府は11日からコロナの水際対策を緩和し、1日あたりの入国者数の上限を撤廃。個人旅行の解禁と短期訪日時のビザ免除も同日から実施する。また、観光支援策として「全国旅行支援」を同日から始める。
赤坂社長は、「訪日客が来られない状況だったので、心から歓迎したい。(水際対策緩和の)発表前の3倍の予約が入っており、東南アジアが多い。安全安心な日本で気分を変えたいのではないか」と語った。
国内線「年内、遅くとも年度内」
全国旅行支援については「国内(需要の回復)は、人が動くきっかけが欲しい状態では、とずっと感じていた。長距離移動に弾みを付けるだろう。これまでは便数を若干落としながら路線を維持し、動かないといけない人が動けるようにしていたが、今後は全便運航できる」と述べた。
赤坂社長は2021年12月にも、「いわゆる“GoTo待ち”があるのかもしれない」と、昨年の国内観光需要の回復が遅れた要因を指摘していた(関連記事)。
国内の旅客需要回復は「きっかけさえできれば年内、遅くとも年度内」に見込めるという。
海外のビジネス「日本人だけいない」
一方、国際線の需要回復は「一番のネックは空港のマンパワー。世界中の空港で飛行機をハンドリングする人たちの人手不足が起きていて、何とかしたくても飛ばしてくれるな、という空港がまだまだ世界的に多い。中国・ロシアを除けば2025年くらいではないか」との見方を示した。
海外空港のハンドリング以外の課題としては、旺盛なインバウンド需要に対する日本発需要の低迷を挙げた。「問題は日本発だ。観光は円安の影響がすごく大きい。ビジネスもまだまだ海外出張を制限している企業が多い。海外はフェイス・トゥー・フェイスの会議に戻っているが、日本人だけいない。これでは日本の経済、産業はこれから難しいのではないか」と、すでに日本以外の国ではコロナ前のビジネススタイルに戻っているところが多く、日本企業だけが取り残される危険性を示唆した。
また、堅調な需要が期待できる貨物については「成田を中心とした物流は羽田より整っている」として、成田を拠点に展開していく考えを示した。
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