ANAから主席技術駐在としてカナダのボンバルディアに派遣された敏腕交渉マンの北原は、Q400型機の不具合を発生源から対策を施していった。(第2回の記事はこちら)
ある時は「直せないなら機体を交換しろ」と詰め寄り、またある時は日本から訪れたANA社員に「彼らの自尊心も大切にしないといけない」と助言。緩急を巧みに使い分けた北原の奔走で、機体は徐々に改善していった。
では、Q400を日々整備し、機体の受領時は領収検査を担当する整備士たちは、どのような思いを抱いているのか。整備や領収検査で経験したこと、ボンバルディアの工場で驚いた光景、6年連続で受けている定時性表彰の秘訣──。運航会社であるANAウイングス(AKX)の整備士たちに聞いた。(文中敬称略)
ゴミが散乱する製造現場
中部空港で整備を担当する大力(だいりき)健太は、2005年入社。翌06年からQ400の整備を担当し、これまでに21機あるQ400のうち、8機の領収検査を担当した。
領収検査とは、機体メーカーから航空会社が機体を受領する際、問題点がないかをくまなく調べる検査。機体各部の動作や塗装に問題はないか、配線は正しいか、機内のシートは壊れていないかなど、あらゆるところを調べる。仮に領収検査後に機体の不具合が後から見つかったとすると、機体メーカーに補償を強く求められなくなる場合もあるため、責任重大だ。
大力は日常の整備作業で気付いたことや、拠点である伊丹と中部以外の空港で発生した問題点を分析。これを領収検査の項目に反映していった。
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