鈴与傘下のフジビジネスジェット(FBJ)は9月14日、仏ダッソー・アビエーションの中型ビジネスジェット「Falcon 2000LXS(ファルコン2000LXS)」(登録記号JA16AC)を羽田空港で公開した。国土交通省航空局(JCAB)から国内航空運送事業認可を8日に取得したことで、チャーター便など有償で旅客や貨物を運べるようになった。同型機の事業機としての国内導入は初めてで、当初は国内を飛行し、2023年には海外への国際チャーターも視野に入れている。
—記事の概要—
・日本から東南アジアカバー
・機体稼働高めて低廉化
日本から東南アジアカバー
FBJのファルコン2000LXSの客室仕様は10席で、座席を倒すと3つのシングルベッドとダブルベッドを1つ用意できる。客室は長さ7.98メートル、高さ1.88メートル、幅2.34メートルで、最大19席配置できることから余裕のあるレイアウトになっている。
最大速度はマッハ0.862、航続距離は4000海里(7410キロ)で、日本からシンガポールやアラスカへ飛べる。
自動車のナンバーにあたる国交省の「登録記号」は頭に「JA」が付き、日本国籍機を表す。ビジネスジェットの多くは「N」で始まる米国籍機などの外国籍で、国内では自家用機の所有者が国内移動する場合は条件付きで飛行を許可されるものの、有償・無償を問わず旅客や貨物を運ぶことが認められていない。
FBJは、ファルコン2000LXSのほか、日本国籍機の米セスナ サイテーションCJ2+を2機、サイテーションCJ4 Gen2を1機保有。同社の米原愼一社長によると、企業のBCPなどで需要が拡大していることから増機を計画している。
機体稼働高めて低廉化
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大後、国内ではリスク対策の一環としてビジネスジェットを利用する企業が増えた。また、国内の拠点間を社員が移動する際、鉄道やバスなどの地上交通と航空会社の定期便を乗り継ぐと6時間かかる距離を、ビジネスジェットであれば大幅な負担増なく1時間程度で結べるケースもあり、欧米と同じく時間を有効活用している企業もある。
米原社長は「機体の稼働率を高めれば、チャーター料金を抑えられる」と述べ、企業が費用対効果を得られる料金を打ち出すことで、ビジネスジェット利用の裾野を広げたいという。
フジビジネスジェットは、鈴与傘下の静岡エアコミュータを母体にビジネスジェット部門が独立する形で2019年9月6日に設立。2020年4月から静岡空港を拠点に運航している。
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