全日本空輸(ANA/NH)のエアバスA321neoが、9月12日で就航5周年を迎えた。国内初のA321neo導入で、ANAの国内線仕様機では初めて全席にタッチパネル式個人用モニターを設けるなど、その後登場した同社のボーイング777-200ERや787-9の国内線新仕様機で採用されているサービスは、A321neoから始まったものも多く見られる。
幹線の羽田-札幌(新千歳)、伊丹、福岡、那覇はもちろん、全国各地の地方空港にも乗り入れるA321neo。2014年の発注表明から振り返ってみよう。
—記事の概要—
・ANAでは”3代目”のA321
・個人モニターや電源装備
ANAでは”3代目”のA321
ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は8年前の2014年3月27日に、ボーイング777XやA321neoなど5機種の発注を決定したと発表。ANAグループとしては過去最大の発注機数、投資額となる決定だった。同年7月31日には正式発注に切り替えられ、A321neoの初号機(登録番号JA131A)は2017年9月8日に羽田空港へ到着した。
ANAがA321を導入するのは、A321neoで3回目。いずれも国内線機材で、初回は1998年4月から2008年2月まで最多で7機を運航したA321(シャークレットなし、2クラス191席:スーパーシート8席、普通席183席)、次が2016年11月12日就航のA321ceo(A321従来型、2クラス194席:プレミアムクラス8席、普通席186席)で、燃料消費を改善する翼端の「シャークレット」を装備した同型機の導入は国内初だった。
A321neoの「neo」は「ニュー・エンジン・オプション」の略で、A320ファミリーの長胴型であるA321ceoの発展型。胴体長はA320と比べて約20%長い44.5メートルで、翼端にはシャークレットを備える。
エンジンは米プラット・アンド・ホイットニー(PW)製PW1100G-JMと、CFMインターナショナル製LEAP-1Aのいずれかを選択でき、ANAはPW1100G-JMシリーズのうち、推力が3万290ポンド(1万3740キログラム)の「PW1130G-JM」を選定した。
エアバスがPW1100G-JMを搭載したA321neoを引き渡したのはANAが初めてで、ANAはA321neoを運航する5番目の航空会社となり、現在は22機を運航している。
個人モニターや電源装備
座席数はA321ceoと同じ2クラス194席で、プレミアムクラス8席と普通席186席。シートはプレミアムがレカロ製、普通席がゾディアック・エアロスペース(現サフラン)製で、プレミアムは電動リクライニングシートを採用した。1列あたりの座席配列は、プレミアムクラスが2席-2席、エコノミーが3席-3席となっている。
シートピッチはプレミアムクラスが50インチ(127センチ)で、エコノミーが31-32インチ。全席にタッチパネル式個人用モニターを設置し、画面サイズはプレミアムが12インチ、普通席が10インチとなっている。両クラスとも、電源コンセントと充電用USB端子を設けた。
また、Wi-Fi機器による機内インターネット接続サービス「ANA Wi-Fiサービス」に対応。機内エンターテインメントシステム(IFE)は、2016年12月26日就航のA320neoと同じく、ゾディアック(現サフラン)製「Rave」を採用した。
2017年8月23日製造の初号機は、9月5日に独ハンブルクで引き渡され、ノボシビルスク経由で羽田に到着。同年9月12日の羽田発熊本行きNH641便が初便となった。
ANAではその後、777-200ERの国内線新仕様機が2019年11月16日、787-9の国内線新仕様機は2021年12月9日に就航。いずれも全席に個人用モニター、電源コンセント、充電用USB端子を備えており、A321neoのサービスをブラッシュアップしたものと言えるだろう。
*写真は15枚。
写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備(17年9月10日)
外観編 低燃費大型エンジンは直径2メートル(17年9月10日)
ANAのA321neo
・ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備(17年9月12日)
・ANA、A321neo初号機が羽田到着 12日に国内線就航、全席個人モニター完備(17年9月8日)
・ANA、A321neo初号機受領 9月中旬から国内線(17年9月7日)
・ANA、777-9XとA321neoなど70機正式発注 16年度から受領(14年7月31日)
・ANA、777-9XとA321neoなど70機発注 過去最大の投資規模(14年3月27日)
写真特集・ANA 787-9国内線新仕様機
プレミアムクラス編 15.6インチ大画面と落ち着いた客室
普通席編 フィット感追求した全席画面・電源付きシート
写真特集・ANA国内線777新シート
プレミアムクラス編 15.6インチモニターと落ち着いた空間
普通席編 骨盤支えて疲れにくい全席画面・電源付きシート
写真特集・ANA A320neo初号機就航
第1回 大型機並み装備のビジネスクラス(16年12月27日)
第2回 狭小空間生かしたギャレーと化粧室(16年12月29日)
最終回 新型エンジンで低燃費低騒音(16年12月30日)
写真特集・ANA A321ceo国内線仕様
前編 電動シートのプレミアムクラス(16年11月17日)
後編 初号機はハンブルク製(16年11月18日)