カタール航空(QTR/QR)は、注残となっていたエアバスA350型機を全機キャンセルした。エアバスが現地時間9月8日に更新した8月分の受注リストで明らかになったもので、同社が発注済みだった長胴型のA350-1000が、リストから19機分削除された。カタール航空とエアバスはA350の外観塗装が劣化する技術的な問題で、両社間で争いが続いている。
カタール航空のA350は、機体表面の塗装が加速度的に劣化。同社によると塗装劣化は表面にとどまらず、塗装の下にある複合材構造が湿気と紫外線にさらされているほか、機体の避雷システムの損傷にもつながっているという。また複合材の亀裂やリベット部分の損傷もみられるとしている。
同社はA350のローンチカスタマーで、標準型のA350-900を34機、長胴型のA350-1000を42機発注済みだった。最終号機となった19機目のA350-1000(登録記号A7-ANS)を受領した2020年12月31日時点でA350-1000の発注数は42機だったが、直近の今年7月末時点で38機に減少。8月末時点では19機となり「完納」扱いとなった。A350-900は34機を完納済みで、現在は2機種合わせて53機を保有している。
2021年以降はA350を含め、カタール航空が受領したエアバス機はゼロで、今回のキャンセルにより全機種を通じ注残がゼロとなった。
塗装劣化を受け、カタール航空は2021年12月にエアバスに対する法的手続きをロンドンの高等法院で開始。エアバスと協議してきたが物別れに終わったため、今年1月には50機発注済みのA321neoを全機キャンセルしている。
関連リンク
カタール航空
Qatar Airways Statement on Airbus A350 aircraft(YouTube、1分37秒)
Airbus
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