エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2022年8月22日 06:55 JST

ユナイテッド航空、PWエンジン不具合777の運航再開 1年半ぶり

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 およそ1年半前の現地時間2021年2月20日(日本時間21日)にエンジン損傷トラブルを起こしたユナイテッド航空(UAL/UA)のボーイング777-200型機(登録記号N772UA)が、8月21日(日本時間同日)のシカゴ発サンフランシスコ行きUA2242便で運航を再開し、21日午前10時58分(日本時間22日午前2時58分)にサンフランシスコへ到着した。

ユナイテッド航空の777(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 トラブルは昨年2月20日のデンバー発ホノルル行きUA328便で発生。デンバーを離陸直後に右エンジンにトラブルが発生して引き返した。空港周辺の住宅地や公園などには、インレット・カウルなどエンジン部品の一部が落下したが、乗客229人と乗員10人の239人にけが人はなかった。当該機のエンジンは、米プラット&ホイットニー(PW)製PW4000のうち推力7万7000ポンドのPW4077だった。

 NTSB(米国家運輸安全委員会)の調査によると、2基あるエンジンのうち、損傷の大半は右側の第2エンジンに限られ、機体の損傷は軽微だった。第2エンジンはファンブレードが2枚折れており、うち1枚は根元から折れていた。FAA(米国連邦航空局)は同じエンジンを搭載する777に対して緊急耐空性改善命令(EAD:Emergency Airworthiness Directive)を出した。ユナイテッド航空は点検と改修を進め、今年5月までに運航再開許可を取得。6月から運航を順次再開した。

 当該機のN772UAは、1995年9月にユナイテッド航空へ引き渡された機体で、トラブル後は昨年7月にデンバーからカリフォルニア州ビクタービルへ移された。今年4月にホノルルとグアムを経由して中国・福建省南部アモイの整備委託先へ到着し、7月にビクタービルへ戻った。シカゴには再就航前日の8月20日午後9時57分に着いた。

 再開初便のUA2242便は、定刻の21日午前8時55分にシカゴ・オヘア国際空港第1ターミナルC16ゲートから出発。サンフランシスコ国際空港には午前10時58分(日本時間22日午前2時58分)に到着した。座席数は2クラス364席で、ユナイテッド・ファースト28席とエコノミー336席。

 日本では、国土交通省航空局(JCAB)がFAAより早く事故発生当日の2021年2月21日(現地時間20日)に、同じエンジンを搭載する777の運航停止を国内の航空会社に指示。PW4000を搭載する777は当時、全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)が運航していた。このうち、JALは運航停止後、計画を前倒しして翌3月末までに全機を退役させた。ANAは今年6月23日から運航を再開し、10月末までには全15機の整備を終えて国内線に再投入する見込み。ANAのPW4000搭載777では、ユナイテッド航空の機体と同様のトラブルは起きていない。

再開初便の運航実績(実績/定刻)
UA2242 シカゴ(08:55/08:55)→サンフランシスコ(10:58/11:27)

関連リンク
ユナイテッド航空
Pratt & Whitney
Boeing
ボーイング・ジャパン

21年2月に発生
ユナイテッドの777、ファンブレード2枚破断も機体損傷は軽微 NTSB調査(21年2月23日)
FAA、777に緊急耐空性改善命令 ユナイテッド機不具合でPWエンジン機(21年2月22日)
ユナイテッド航空の777,デンバー離陸後にエンジントラブル 部品落下も(21年2月21日)

日本国内の状況
ANA、PWエンジン777運航再開 10月までに全機復帰(22年6月23日)
国交省、PWエンジン777の運航停止解除 国内はANAのみ、4-6月期の再投入目指す(22年3月18日)
国交省、PWエンジン777の運航停止を一部解除 JALフェリー便が売却先へ(21年12月16日)
JAL、国内線777の退役完了 PWエンジン機運航停止で前倒し(21年4月5日)
国交省、ANA/JALに777運航停止指示 ユナイテッド機事故でPWエンジン機(21年2月22日)