米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、垂直離着陸輸送機CV-22「オスプレイ」について、クラッチの不具合を理由に全機を飛行停止にしている。防衛専門誌「Breaking Defense」など米国の複数のメディアが伝えた。報道によると、AFSOCは現地時間8月16日に、所属する全52機の飛行を停止した。
CV-22は、ロールス・ロイス(旧アリソン・エンジン)製ターボシャフトエンジンAE1107Cを2基搭載。Breaking Defenseなどによると、2基のうち1基とプロペラローターをつなぐギアボックス内のクラッチに不具合が出ており、過去6週間以内に2件、2017年以降ではこの2件を含めて計4件の安全上の問題が起きているという。
AFSOCはこの問題を「ハード・クラッチ・エンゲージメント」と呼んでおり、ローターのギアボックスとエンジンをつなぐクラッチが滑り、その後強く引っ掛かることで航空機が傾くことを意味している。根本的な原因が特定され、不具合対策が実施されるまではCV-22の飛行を再開しないとしている。現時点で死傷者は出ていないが、飛行再開時期は明確になってない。
V-22はボーイングとヘリコプターメーカーのベル・テキストロンが共同開発し、1999年5月24日に納入開始。米空軍の特殊作戦部隊仕様となるCV-22は、2000年9月に最初の試験機2機が引き渡され、最初の運用機は2007年1月にAFSOCへ納入された。初期運用能力は2009年に獲得し、日本国内では都内の横田基地に配備されている。
関連リンク
Air Force Special Operations Command
Boeing
ボーイング・ジャパン
AE 1107C(Rolls-Royce)
Breaking Defense
・ボーイング、V-22オスプレイ納入400機到達(20年6月12日)
・ボーイング、V-22オスプレイ新工場完成(19年8月5日)