ボーイングは、来週7月18日からロンドン近郊で開かれるファンボロー航空ショーで、小型機737 MAXのうち胴体長が最長の737-10(737 MAX 10)を海外初披露し、飛行展示を実施する。次世代大型機777Xも飛行展示を行い、低燃費の民間機を世界の航空会社に売り込む。また、「空飛ぶクルマ」の分野も展示を行う。
737 MAXは、標準型が737-800の後継となる737-8(737 MAX 8)で、メーカー標準座席数は1クラス189席。737-700の後継機でもっとも胴体が短い737-7(737 MAX 7、同172席)、737-900ERの後継となる737-9(737 MAX 9、同220席)があり、胴体長がシリーズ最長の737-10の座席数は同230席となる。737-10は現地時間2021年6月18日に初飛行した。
ファンボロー航空ショーでは、737-10と777Xは飛行展示を毎日実施する予定で、地上展示も行う。航空ショーの飛行展示では、民間機も戦闘機のような急上昇や旋回を披露し、機体性能の高さをアピールすることが多い。737-10と777Xは今回、低燃費や低騒音をアピールするとみられる。777Xは18日から20日まで、737-10は21日までの展示となる見通し。
一方で、737 MAXは2度の墜落事故が起きたことから、FAA(米国連邦航空局)が型式証明の審査を厳格化している。ボーイングのデビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)は、米国の航空専門紙「Aviation Week」の取材に対し、型式証明の規制上の問題のため、737-10が失注に追い込まれる可能性があることを示唆している。
ボーイングは2020年の運航再開と前後し、737 MAX 8に関する報道発表では型式を示す「737-8」表記を使い始めたが、機体のシリーズを示す「ファミリー」やブランドとしては「737 MAX」を引き続き使用。その後、737 MAX 9を737-9、737 MAX 10を737-10と表記を改めている。報道発表で「737 MAX」表記を最小限に抑える一方、ウェブサイトでは「737 MAX 8」など従来の機種名で紹介しており、表記が統一されていない。
777Xも、型式証明の厳格化が影響しており、引き渡し開始を2年遅らせて2025年に初号機を納入する。日本では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が長距離国際線機材777-300ERの後継機として、777-9を20機発注している。
防衛分野では、P-8A「ポセイドン」、E-7「ウェッジテール」、KC-46A「ペガサス」、CH-47「チヌーク」やAH-64「アパッチ」などの展示を予定している。
また、ボーイングの合弁会社ウィスクエアロ(Wisk Aero)は、「空飛ぶクルマ」や「エアタクシー」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)の「Cora」を出展予定。パイロットが乗務しない電気推進の自律飛行型の機体で、欧州初披露となる。無人空中給油機のMQ-25など自律飛行分野の既存機も展示を予定している。
ファンボロー航空ショーは偶数年開催で、奇数年に開かれるパリ航空ショーに次ぐ世界最大級の航空見本市。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でオンライン開催となり、現地開催は2018年以来4年ぶりとなる。
関連リンク
Farnborough International Airshow
Boeing
ボーイング・ジャパン
Wisk Aero
737 MAX
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