エアライン, ボーイング, 機体 — 2022年7月8日 17:00 JST

ANA、国内線777新仕様機の運航再開 PWエンジン搭載機

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 全日本空輸(ANA/NH)は7月8日、6月から運航を再開した米プラット&ホイットニー製エンジン「PW4000」を搭載するボーイング777型機のうち、新シートを搭載した国内線新仕様機(ボーイング777-200ER型機、登録記号JA715A)を初めて復帰させた。PW4000を搭載するANAの777は3機が運航に復帰したことになり、16日からの3連休には5機、8月のお盆休みまでには8機を投入できるようになり、10月末までには全15機の整備を終えて国内線に再投入する見込み。

羽田空港を出発する777新仕様機再開初便のJA715Aによる那覇行きNH475便=22年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
お盆休みに8機体制
個人用画面と電源完備
ANA機はトラブルなし

お盆休みに8機体制

 国内の航空会社で、PW4000を搭載する777を保有するのは現在ANAのみ。15機すべてが国内線機材で、777-200が2機、航続距離延長型の777-200ERが8機、長胴型の777-300が5機となる。

羽田空港を離陸する777新仕様機再開初便のJA715Aによる那覇行きNH475便=22年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777-200と-200ERの座席数は、新仕様の2クラス392席仕様(プレミアムクラス28席、普通席364席)、既存の2クラス405席仕様(プレミアムクラス21席、普通席384席)で、777-300は全機が2クラス514席仕様(プレミアムクラス21席、普通席493席)となる。新仕様機は、ANAのウェブサイトの運航情報などで機種表記が「722」となる。

 ANAによると、8月までに復帰する8機は777-200と777-200ERで、777-300は今のところお盆明け以降の運航再開になる計画だという。

 これまでに復帰している3機はいずれも777-200ERで、6月23日に復帰したJA742A、7月2日復帰のJA717A、8日復帰のJA715Aとなる。JA715Aの再開初便は羽田発那覇行きNH475便で、羽田を午後2時53分(定刻午後2時35分)に58番スポットから出発し、那覇には午後5時10分に到着する見通し。

羽田空港を出発する777新仕様機再開初便のJA715Aによる那覇行きNH475便=22年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港を出発する777新仕様機再開初便のJA715Aによる那覇行きNH475便=22年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人用画面と電源完備

 今回復帰したJA715Aは新仕様の改修初号機で、2019年11月16日に就航。現在は4機あり、405席仕様は6機、777-300は全5機が514席仕様となる。

777-200ERの新プレミアムクラスを紹介するANAの客室乗務員=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11.6インチの個人用モニターを完備するANAの777-200ER国内線新仕様機の普通席=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新仕様のプレミアムクラスは、サフラン・シート・US製シートを採用。表面を現行の革張りから布地に変更することで、滑りにくくした。個人用モニターは、ANAの国内線用中大型機では最大サイズとなる15.6インチのタッチパネル式のものを採用した。座席配列は2-3-2席の1列7席となる(プレミアムクラス新シート写真特集)。

 普通席はトヨタ紡織製。大柄な人から小柄な人まで、どのような体格の人が座ってもフィットするよう、背もたれのフレーム形状を最適化したり、座面を低くした。また、11.6インチの個人用モニターを採用し、テーブルのカップホルダーはクローバー型に変更することで、紙コップを取り出しやすくした。座席配列は3-4-3席の1列10席となる(普通席新シート写真特集)。


ANA機はトラブルなし

 国土交通省航空局(JCAB)は、米国で2021年2月20日(日本時間21日)に発生した米ユナイテッド航空(UAL/UA)の777-200(登録記号N772UA)のエンジントラブルを受け、同じエンジンを搭載する777の運航停止を、ANAと当時保有していた日本航空(JAL/JL、9201)に同日指示。海外の航空各社にも同型機の日本乗り入れ停止を指示していた。

羽田空港を出発する777新仕様機再開初便のJA715AのPW4000エンジン22年7月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JCABは今年3月18日付で、PW4000を搭載する777の商業運航停止を解除。再発防止策を策定し、エンジン内にあるファンブレードの非破壊検査の強化や、インレット・カウルの強化、火災防止向けの改修などを条件に、防止策を施した機体の運航再開を認めている。

 ANA機ではPW4000関連で上述のトラブルは起きていないが、(1)ファンブレード破断防止のため非破壊検査の間隔短縮、(2)エンジンカウルの構造強化、(3)エンジンの防火機能強化などの対策を実施している。

 JALは2020年度でPW4000を搭載する777を全機退役済み。当初は2021年度末までに当時残っていた7機(777-200:5機、777-300:2機)を全機退役させる計画だったが、予定を前倒しして後継機のエアバスA350型機に置き換えた。また、ANAとJALが国際線に投入している777-300ERや、JALが国内線に転用した777-200ERは米GE製エンジンGE90を採用しており、運航停止の対象外だった。

 ユナイテッド航空は、PW4000を搭載する777-200を6月から国際線で運航を再開している。

関連リンク
全日本空輸
トヨタ紡織

ANA 777国内線新仕様機の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル
ANA、777国内線新仕様機公開 個人モニターと電源付き新シート

搭乗記・ANA 777国内線新仕様機
前編 疲れにくい画面付き普通席
後編 大型モニターと収納が使いやすいプレミアムクラス

写真特集・ANA国内線777新シート
プレミアムクラス編 15.6インチモニターと落ち着いた空間
普通席編 骨盤支えて疲れにくい全席画面・電源付きシート