ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)の井上慎一社長は7月7日、日米でトラブルが起き、6月に運航を再開した米プラット&ホイットニー製エンジン「PW4000」を搭載する大型機のボーイング777型機について、8月のお盆休みには8機が復帰すると発表した。10月末までには全15機の整備を終える見込み。
都内で会見した井上社長は「来週末の3連休には5機、8月のお盆の時期には8機、10月末までには全15機が整備を終えて再就航集可能になる」と述べた。ANAの777では、日米で起きたエンジントラブルは発生していないが、1年4カ月間運航停止となり、6月23日に運航を再開した。
国内の航空会社で、PW4000エンジンを搭載する777を保有するのは現在ANAのみ。全15機が国内線機材で、777-200が2機、航続距離延長型の777-200ERが8機、長胴型の777-300が5機となる。ANAによると、8月までに復帰する8機は777-200と777-200ERで、座席数は2クラス405席仕様(プレミアムクラス21席、普通席384席)と、新仕様の2クラス392席仕様(プレミアムクラス28席、普通席364席)になる。2クラス514席仕様(プレミアムクラス21席、普通席493席)の777-300は、今のところお盆明け以降の運航再開になる見込み。
また、今夏の旅客需要について、空港で利用者に話を聞いたという井上社長は「やっと旅行に行ける、やっと帰省できるとおっしゃっており、モードが変わったなということを最近感じるようになった」と述べた。
7月は国内線臨時便を「200便以上運航する」とし、国際線は「41路線運航する。コロナ前が75路線で5割以上戻しているが、毎日運航できない路線もまだ多いため、運航便数は3割強だ。東南アジアから日本を経由して米国へ向かう利用者が増えている」と説明した。
一方で、訪日客のビザ取得が義務化されていたり、個人旅行が認められていない現状や、日本人も帰国前に渡航先でPCR検査を受ける必要があるなどの課題を挙げ、日本人の海外渡航や訪日需要回復の足かせになっているとして、水際対策の見直しを求めた。
関連リンク
全日本空輸
PW4000
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