ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は7月4日、食用コオロギの粉を混ぜ込んだハンバーガーやパスタを使った機内食を報道関係者に公開した。食用コオロギ関連事業を展開する徳島大学発のフードテックベンチャー、グリラス(徳島県鳴門市)と提携し、新メニューの「トマトチリバーガー」と「ペスカトーレ」の販売を1日から始めた。
食用コオロギパウダーを使った料理は「サーキュラーフード」や「昆虫食」と呼ばれている。新メニューはグリラスが開発した「グリラスパウダー」を使用。国産食用フタホシコオロギを粉末化したもので、環境負荷の低い新たなタンパク源である食用コオロギの普及を目指す。
トマトチリバーガーは、バンズとパティ、辛みスパイスを効かせたトマトソースにコオロギパウダーを混ぜ込んだハンバーガー。ペスカトーレは、コオロギパウダーを加えたトマトソースにソフトシェルシュリンプ、タコ、イカ、小柱が入ったパスタとなる。
ZIPAIRの機内食は事前予約制で、メニューは20種類程度用意。西田真吾社長は「フードロスの削減を一歩推し進める取り組み。機内食で昆虫食はまだ珍しいが、少しでもお客さまが関心を持つものをご用意した」と述べ、社員から発案でスタートしたという。
グリラスの渡邉崇人社長は、コオロギパウダーの味について「甲殻類のエビやカニに近い。グリラスのコオロギパウダーは植物性の食品残渣(ざんさ)を使い、臭みやえぐみが減っておいしくなるように育てている」と話す。タンパク質含有量が76.3%と高く、ビタミンやミネラルが豊富な点も特徴だという。
昆虫は体重1キロを増やすのに必要なエサの量で換算すると、圧倒的に少ない量で済む。なぜ昆虫の中でもコオロギなのかについて、渡邉社長は「簡単に飼育できて早く育つ。コオロギは雑食なので、フードロスだけで飼育できるようにし、食品残渣100%で飼育するようにした。環境にやさしいタンパク質の供給源」と話す。
ZIPAIRの機内食を手掛けるジャルロイヤルケータリング(JRC)の小田卓也社長は、「コオロギパウダーとの出会いは今年3月の食品関係の展示会だった。ZIPAIRから昆虫食の相談があったのも3月。通常メニュー開発は半年から1年くらいかかるが、西田社長から7月には載せたいと頼まれ、期間が2、3カ月しかなかった」と振り返った。
開発を担当したJRCのシェフによると、子供でも食べてもらえるメニューとしてハンバーグとペスカトーレになったという。コオロギパウダーは1食当た約4.5グラム使用した。
価格はいずれも1500円。販売路線は成田発着のバンコク線、シンガポール線と、成田発のホノルル行きとロサンゼルス行き。
関連リンク
ZIPAIR
グリラス
ジャルロイヤルケータリング
尾翼の「Z」消す新デザイン
・ZIPAIR、尾翼「Z」消え新デザインに 6/18から(22年6月15日)
機内の動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・ZIPAIR 787-8 JA822J機内公開 フルフラットシートも
写真特集・ZIPAIR 787-8の機内
(1)フルフラット上級席ZIP Full-Flatは長時間も快適
(2)個人用モニターなし、タブレット置きと電源完備のレカロ製普通席
(3)LCC初のウォシュレット付きトイレ