コロナ前の2019年にソウルで開かれた第75回以来、3年ぶりに完全現地開催で6月に開かれたIATA(国際航空運送協会)の第78回AGM(年次総会)。当初は中国東方航空(CES/MU)がホストを務め、上海で開かれる予定だったが、感染拡大の影響でカタールのドーハに変更され、カタール航空(QTR/QR)がホストを務めた。カタールは今年11月21日からサッカーのワールドカップが開かれることもあり、街中は開発が急ピッチで進んでいる。
一方、IATAは日本がこれまで採ってきたコロナ対策の入国制限について、いっそうの緩和を求める声明をAGMで発表。私は2015年に米マイアミで開かれた第71回総会から毎回取材しているが、AGMで出される声明で日本の政策が明確に名指しされたのは初めてだった。
日本では1日当たりの入国者数の制限が6月1日から緩和され、これまでの2倍にあたる1日2万人としており、10日からは外国人観光客の受け入れを再開した。一方、入国時にPCR検査の陰性証明が必要であるなどの制限は続いている。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長に日本の水際対策について尋ねると、「科学に基づいたものではなく、ほとんど効果がない割に膨大なコストがかかる」と、今年に入り厳格な水際対策から方針転換し、回復する旅客需要を取り込めている豪州やニュージーランドを引き合いに、日本政府に対してさらなる入国制限の緩和を求めた。
では、AGMに出席した日本の大手航空会社などは、現状をどう感じているのだろうか。今回は日本航空(JAL/JL、9201)で国際提携分野を取りまとめている執行役員、レゲット・ロス路線事業本部副本部長に聞く。
── IATAは日本の国境再開は不十分との見方だ。JALの国際線の現状は。
レゲット氏:(AGMが開かれた6月20日時点では)インバウンドはほぼゼロで、日本を訪れる人がほとんどいない状況。というのは、パッケージツアーが再開されても、ビザを取らなければならず、本人が総領事館にいかなければならない。PCR検査も出発前にある。出張者の場合、(陽性反応が出た場合に)帰れなくなる不安があり、観光もそこがネックになっている。
もうひとつは
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