IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月20日、今年の理事に全日本空輸(ANA/NH)の井上慎一社長と日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長ら8人を選任した。IATAの理事会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による各国の入国制限の緩和や燃油価格の高騰、CO2(二酸化炭素)排出量削減といった、世界の航空業界が抱える課題解決に向けた議論を主導していく。
カタールのドーハで開かれている第78回AGM(年次総会)で選任された。ANAは21日、井上社長による「IATA理事という大役を仰せつかり、とても光栄に思う。任命されたことを謙虚に受け止め、ほかの理事の皆様と安全・安心で持続可能な航空輸送業界の将来の成長に貢献していくことを楽しみにしている。IATAのミッションは、ANAのESG目標や2050年までに航空事業によるCO2排出実質ゼロを達成するというコミットメントと合致している」とのコメントを発表した。
JALは20日、「光栄だ。世界の航空業界が飛躍出来るようリーダーシップを発揮し、職務を全うしたい」との赤坂社長のコメントを発表した。
8人の理事は井上氏と赤坂氏のほか、社名のアルファベット順にエールフランス-KLMグループのベンジャミン・スミスCEO(最高経営責任者)、エチオピア航空(ETH/ET)のメスフィン・タセウ・ベケレCEO、大韓航空(KAL/KE)の趙源泰(チョ・ウォンテ)会長、ルフトハンザグループのカルステン・シュポアCEO、ターキッシュエアラインズ(旧称トルコ航空、THY/TK)のアフメット・ボラット会長が選任された。
AGMは年に1回開催され、世界各国の航空会社や機体メーカーなどの首脳陣が一堂に会し、航空業界の重要な指針が示される。ANAとJALとも経営トップが例年出席しているが、今年は20日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の、21日にJALの株主総会が開かれたことから、井上氏と赤坂氏はともに出席を見合わせ、ANAHDは宮川純一郎常務、JALはロス・レゲット路線事業本部副本部長と、両社とも国際提携を担当する役員が出席した。
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IATA
第78回AGM
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