米空軍は、早期警戒管制機(AWACS)E-3「セントリー」の一部を、ボーイングが開発したE-7「ウェッジテイル」に置き換えることを決定した。契約締結は2023年度(米国基準)を予定している。
2023年度予算案では、31機あるE-3のうち15機を売却し、後継機の調達と配備の原資にすることが提案されており、2023年度からの研究・開発・試験・評価資金として2億2700万ドル(約295億円)が含まれている。想定では2024年度に試作機の資金調達、2025年度に生産決定、2027年度の試作機引き渡しを見込んでいる。
米空軍はE-7について、「国防総省の戦術的戦闘管理、指揮統制、移動目標指示機能の要件を、老朽化したE-3の置き換えに必要な期間内に満たすことができる唯一のプラットフォーム」と評価した。
E-3は旅客機のボーイング707型機をベースにした機体で、1977年3月に米空軍へ最初の機体が引き渡された。ボーイングはE-7について、E-3と比べて運用コストを66%削減でき、E-3よりも少ない人員でより多くの能力を提供できるとしている。
E-7は、ボーイングが「AEW&C(Airborne Early Warning & Control)」と呼ぶ737-700型機がベースの早期警戒管制機で、360度全方位の監視能力を持つ。E-7「ウェッジテイル」は最初に導入した豪州空軍の命名で、2021年までE-3を運用していた英空軍は「Wedgetail AEW Mk1」と名付けて採用している。
E-3を巡っては、2035年に同機の退役を計画しているNATO(北大西洋条約機構)が後継機調査をボーイングに先月発注しており、E-7が後継機に選定される可能性が高まっている。
関連リンク
U.S. Air Force
Boeing
ボーイング・ジャパン
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