全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は4月28日、2022年3月期通期(日本基準)の連結最終損益は1436億2800万円の赤字(21年3月期は4046億2400万円の赤字)になったと発表した。2021年3月期に続き2期連続の最終赤字となり、期初に想定した黒字化はオミクロン株による感染拡大などで未達となったが、赤字幅は約2610億円圧縮した。
今期(23年3月期)の通期連結業績予想は、純損益が210億円の黒字を見込む。国内線旅客はコロナ前の平均80%、国際線は同35%まで回復を想定。国内線はANAHD傘下のLCCであるピーチ・アビエーション(APJ/MM)の旅客数を合算すると今年度上期中にコロナ前の水準、国際線はエアージャパン(AJX/NQ)との合計で2023年度末までにコロナ前の水準への回復を目指す。
ANAHDの芝田浩二社長は「3月はコロナ禍で初めて単月の売上高が100億円を超えた。着実に回復の兆しを見せつつある」と述べ、「今年度中に中期経営戦略をお示しする」と語った。
—記事の概要—
・22年3月期実績
・23年3月期予想
22年3月期実績
2022年3月期の売上高は1兆203億2400万円(21年3月期比40.0%増)、営業損益が1731億2700万円の赤字(21年3月期は4647億7400万円の赤字)、経常損益が1849億3500万円の赤字(4513億5500万円の赤字)となった。
営業費用は前年並みの1兆1934億円。運航規模は前期(21年3月期)比でANAの旅客事業が1.3倍、国際線貨物事業が1.5倍、ピーチの国内線が1.6倍と拡大したが、固定費を抑制した。
売上高のうち、国際旅客収入は前期比56.8%増の701億円で、国内線は37.8%増の2798億円。国際貨物は2.04倍の3287億円、国内貨物が19.4%増の249億円で、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)によるLCC事業が71.3%増の378億円だった。
23年3月期予想
2023年3月期の通期業績予想は、売上高が2022年3月期比62.7%増の1兆6600億円、営業損益が500億円の黒字、経常損益が300億円の黒字、純損益が210億円の黒字と2020年3月期以来3期ぶりの通期黒字を見込む。
芝田社長は「コスト改革が進んでおり、損益分岐点は大きく下がっている。国内線はGOTOトラベル事業再開などは織り込んでおらず、上振れ要素もあるだろう」との見方を示した。国際線については「入国規制というバリアがあるので数字が伸びないが、足もとの需要は伸びている」として、国際線も上振れする可能性を示唆した。
また、社員の月例賃金の減額は先月で終了した。
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