エアバス, 機体 — 2022年4月12日 23:56 JST

エアバスと川崎重工、水素燃料の共同調査 2035年実用化へ空港供給体制探る

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 エアバスと川崎重工業(7012)は4月12日、日本での水素利用に向けた調査を共同で実施すると発表した。水素の生産から空港への輸送、航空機への搭載まで、運航時に必要となるさまざまな段階での水素のサプライチェーン構築について1年間調査する。

日本での水素利用に向けた調査の共同実施に関する覚書を締結したエアバスのステファン・ジヌー・ノースアジア地域代表(右)と川崎重工水素戦略本部の西村元彦副本部長=22年4月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 両社は今後、航空機の水素利用に必要な政策提言と課題への取り組みに向けたロードマップを共同で作成。エアバスは2035年に水素航空機の実用化を、航空業界では2050年までの航空機の運航によるCO2(二酸化炭素)排出量の実質ゼロ実現を目指しており、水素燃料で既存の化石由来航空燃料の置き換えを目指す。

 12日は都内でエアバスのノースアジア地域代表兼エアバス・ジャパン社長のステファン・ジヌー氏と川崎重工の執行役員で水素戦略本部副本部長の西村元彦氏が覚書を締結した。

 エアバスのジヌー氏は「将来的には今の航空機燃料と同じくらいの購入費用とオペレーションコストに持っていきたい。エアバスでは開発段階からコストを意識しているので、2050年には同じレベルに持っていけると思う」と語った。

 川重の西村氏は水素燃料の費用感について、日本で水素燃料の商業利用が本格化するとみられる2030年の時点で「日本に輸入されるものは1キログラムあたり約3ドルくらい。2050年になると、仮に現在のLNG(液化天然ガス)と同じくらい輸入できるようになると、ボリュームが増えることでコストが下がり1.8ドルくらい」と述べた。

「ポッド」と呼ぶ燃料電池のプロペラ推進装置が6基あるエアバスの機体案(同社提供)

エアバスのゼロエミッション旅客機のブレンデッド・ウィング・ボディデザイン(同社提供)

 両社によると、現時点で水素燃料に関する検証を実施する空港は決まっていないという。西村氏によると、国が主導する水素燃料のインフラ整備と歩調を合わせていくため、空港への本格導入は2030年以降になる見込みだ。

 国土交通省航空局(JCAB)は2021年7月28日に、空港や周辺でCO2削減などに取り組む「エコエアポート」の重点調査空港として、羽田や成田、伊丹、関西、神戸、中部、新千歳、広島、鹿児島など21空港を選定。空港の脱炭素化に向け、空港の施設や車両からのCO2排出削減の取組みを進め、空港の再エネ拠点化などの具体的な検討を進めていく。西村氏は水素燃料の取り組みも、重点調査空港の中から始まるのではとの見方を示した。

 エアバスと川重は、最新中型双発ヘリコプター「H145//BK117 D-3」などで協業している。BK117は川重と旧西ドイツのMBB(メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム、現エアバス・ヘリコプターズ・ドイツ)が共同開発し、1982年に国産ヘリとして初の型式証明を取得した。

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