8月6日と7日、記者はピーチ・アビエーション(APJ)にとって10号機目のエアバスA320型機(登録番号JA810P)の命名式を取材するため、ドイツ・ハンブルクにあるエアバス社の工場を訪れた。工場内では、エアバス機のパーツ輸送を担う大型輸送機A300-600ST「ベルーガ」を見かけた。日本では、まずお目にかかれない機体だ。
シロイルカを意味する愛称の通り、どことなくユーモラスなこの輸送機は、欧州各地で製造されるエアバス機のパーツを、ハンブルクやフランス・トゥールーズの最終組立工場などへ輸送している。
ベルーガはA300-600Rをベースにしており、エンジンは米GE製CF6-80C2を搭載する。エアバスが1970年代からパーツ輸送に使用してきた、ボーイング377ストラトクルーザーの改修機「スーパー・グッピー」の代替機として開発された。貨物室内の容積は1400立法メートル、積載量は47トン、航続距離は1660キロメートルで、胴体幅は世界最大を誇る。
1996年1月に就航し、全5機がエアバスの子会社「AIRBUS Transport International(ATI)」によって運航されている。エアバス機のパーツ輸送以外にも使われており、日本へは99年にドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」を輸送する際にパリから成田へ飛来した。
APJの10号機は、7日に関西空港へ向けて出発した。この1便前が、ベルーガのフライトだった。しかも、5機あるベルーガのうち、唯一機体が真っ白に塗装された4号機(登録番号F-GSTD)で、ハンブルク工場のスタッフからも「ラッキーだ」と言われた。
今回は欧州に出掛けないとなかなかお目にかかれない、ベルーガの写真をまとめてみた。
・エアバス、ベルーガXLの仕様策定 19年就航へ(15年9月17日)
・エアバスの巨大輸送機ベルーガ、初飛行20周年 主翼や胴体運ぶ(14年9月13日)
・ピーチ、10機目のA320がハンブルク出発 12日から商業運航へ(13年8月7日)
・ピーチ、10号機は「ウイング・オブ・東北」 福島の小学生が命名(13年8月7日)