米国スタートアップ企業Yo-Kai(ヨーカイ)が開発したラーメンの自動販売機「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」が3月23日、羽田空港第2ターミナルにお目見えした。日本初進出で、社名は「妖怪」から名付けたというシリコンバレーのスタートアップが提供するラーメンはどんなものなのか。取材の合間に食べてみた。
—記事の概要—
・すごく熱いラーメン
・よくかき混ぜてから食べる
すごく熱いラーメン
場所は第2ターミナル1階「24時間自販機レストラン」で、軽食やお菓子、ドリンク類の自販機とともにヨーカイエクスプレスは並んでいた。メニューはしょうゆ「東京 Shoyu」・みそ「札幌 Spicy Miso」・とんこつ「九州 Tonkotsu」、塩「鶏 Yuzu Shio」の4種類で、価格は1杯790円(税込)。自販機なので24時間購入できる。
決済はクレジットカード(VISA、Mastercard)と交通系ICカード、電子マネー(nanaco、楽天Edy)に対応。現金払いはできないが、交通系ICカードに対応しているので大きな問題はないだろう。地方空港のように、手数料の安さでQRコード決済を導入しているものの、ほかの選択肢は現金しかなく、訪日客を呼び込みたいと言う割にはクレジットカードすら対応していないような状態より現実的だと思う。
ラーメンは自販機中央左のタッチパネルから選ぶ。食べたいラーメンが決まったら、ラーメンの写真をタッチすると次の画面に変わる。交通系ICカードの場合、決済方法を選んでパネル右隣のリーダーにICカードをかざすと決済され、調理が始まる。その場にいた担当者によると、ラーメンは丼の中に麺やスープ、具材が入った状態で冷凍されており、熱湯で調理するのだという。
約90秒で自販機中央右の取出口からラーメンが現れ、手に取ってみるとかなり熱い。取出口上部には「CAUTION HOT BOWL」と丼が熱い事に対する注意書きがあるが本当に注意が必要で、熱いものが苦手な人は布を用意するなど、十分注意していただきたい。
熱々のラーメンが入った丼を手に、急いで向かい側のテーブルに持っていったが、ラーメンと同時に開く割り箸やレンゲが入った取出口はすぐに閉まってしまった。担当者に割り箸を取り出してもらったが、今後は取出口が開く順番などを検討したいという。テイクアウト用には網状の袋も用意されていた。
よくかき混ぜてから食べる
ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)によると、米国では「みそ」と「とんこつ」が人気だとのことで、私はみそラーメンを購入した。
肝心の味はどうか。結論から言うと、冷凍ラーメンとしては十分おいしかった。シリコンバレーの企業が開発した自販機なので、食べる前はフランクフルト空港などのレストランにあるような日本人が考えるラーメンとは似ても似つかぬ“ラーメンではない別の何か”ではなく、ちゃんとしたラーメンだった。
しかし、冷凍ラーメンということもあり、食べる前によくかき混ぜる必要はあった。試しにかき混ぜずに2口ほど食べたところ、すごく薄味のラーメンのようだった。ところが、かき混ぜればしっかりとした味になった。麺はみそラーメンらしく中太麺で、硬さは市販の冷凍ラーメンのような印象を受けた。
私はスープも全部飲んで完食だったが、健康管理をしっかりしている人は、スープを残すだろう。自販機レストランの店内は飲み残しのスープを捨てる場所はないものの、店を出て通路に設置されているゴミ箱には飲み残しを流せるコーナーがあるので、丼を捨てる際に流せる。
販売開始初日だったこともあり、自販機の挙動やメニューのユーザーインターフェースには改善すべき点も見られたが、将来性は十分ありそうに感じた。ターミナルを運営する空港ビルが設置している自販機なので、全国各地のご当地ラーメンのような企画も生まれて欲しいものだ。
将来各地にラーメン自販機が設置されるようになると、ターミナル内にある既存店よりも味にバラツキがない(おいしい、まずいとは別)といった現象も起きるのではないか。ラーメン自販機の今後が楽しみだ。
*とんこつ編はこちら。
関連リンク
Yo-Kai Express
羽田空港
日本空港ビルデング
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