国内の航空会社が運航していたサーブ340B型機のうち、最後の機体となった北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)の2号機(1クラス36席、登録記号JA02HC→VH-EFW)が、給油のため訪れた新千歳空港を3月7日に出発し、売却先の米国へ向かった。これにより、海上保安庁が運用する機体を除くと、サーブ340Bは日本から姿を消した。
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のコックピット=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社であるHACは、旧日本エアシステム(JAS、現JAL)と北海道による第3セクターとして1997年9月30日設立。最初の路線の札幌(新千歳)-函館線が1998年3月28日に就航し、現在拠点としている丘珠空港には2003年8月1日に就航した。JALは経営破綻後の2011年3月にHACの経営から一時撤退したものの、再建後の2014年10月に再子会社化した。
就航から間もない1998年5月7日に受領した2号機は、HACが運航する全3機のサーブ340Bの中では最初に鶴丸塗装に塗り替えられた。整備を委託している同じくJALグループで鹿児島空港を拠点とする日本エアコミューター(JAC/JC)で塗装され、2016年4月27日に丘珠へ到着。フェリーフライトを活用した鶴丸塗装の導入記念チャーター便で、出雲空港でテクニカルランディングを実施し、鹿児島から丘珠までの飛行距離は約1750キロ、フライト時間は約5時間20分に及んだ。
2号機の鶴丸塗装初便は、翌28日の丘珠発函館行き233便。2017年7月には、1998年の就航時から使用してきたラベンダー色の米B/Eエアロスペース製シートを、足もとが広くなった英アクロ製の革張りシートに換装した。
丘珠空港の2番スポットへ向かうHACのサーブ340B定期便最終となった函館発JL2740便=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
定期便のラストは2021年12月26日の函館発丘珠行きJL2740便。当初は丘珠-函館線と釧路線合わせて2往復4便の運航を予定していたが、降雪の影響で函館を午前9時5分に出発した丘珠行きJL2740便が最終便となり、午前9時41分に到着した。JL2740便の運航を終えた時点の総サイクル数は6万2543サイクル、総飛行時間3万9177時間42分となった。
売却整備を行う鹿児島空港へのフライトは翌27日を予定していたが、大雪が降り続いたため延期。このフライトを活用し、三沢空港と中部空港(セントレア)を経由しながら日本列島を約8時間かけて南下するチャーターを予定していたが中止となった。雪に翻弄された2号機は、最終運航から3日後の29日に鹿児島へフェリーされた。
HACのサーブは、全3機を米C&L Aviation Group(C&Lアビエーション・グループ)傘下のC&L Aerospace(C&Lエアロスペース)が購入。最初に退役した3号機は貨物機に改修された。
鹿児島で売却整備を終えた2号機は、鹿児島を3月7日午前10時15分に出発し、同25分に離陸。経由地の新千歳には午後1時35分に着陸し、同39分に到着して給油が行われた。運航はC&L社が手配したパイロット2人が担当し、新千歳を午後3時53分ごろ離陸して日本を離れ、米アラスカ州アンカレッジへ向かった。アンカレッジからはレントンを経由し、C&Lの本社がある米国北東部のメイン州バンゴーに到着した。
国土交通省航空局(JCAB)の航空機登録によると、2号機は2月10日付で抹消登録された。3月7日にテクランで立ち寄った新千歳は、奇しくも2号機が就航時に乗り入れていた空港だった。
本写真特集では、HAC初の鶴丸塗装機として丘珠空港に到着した2016年4月27日、定期便最終日となった2021年12月26日、新千歳空港から離日した今年3月7日に撮影した客室などの写真を取り上げる。
*写真は52枚。
新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
アーク塗装の3号機の横を走行する鶴丸の2号機=16年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
HAC塗装の初号機の横を走行する鶴丸の2号機=16年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港に到着したHAC初の鶴丸塗装となった2号機=16年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
アーク塗装3号機と旧HAC塗装初号機と並ぶ鶴丸塗装2号機=16年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
HAC初の鶴丸塗装となった2号機の機内=16年4月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の客室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のジャンプシート=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のジャンプシートで撮影に応じる客室乗務員=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の機内=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のラバトリー=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のラバトリー=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のラバトリー使用灯=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のコックピット=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のコックピット=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のコックピット=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の銘板=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のスイッチ類=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の銘板=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の乗降口=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の乗降口=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のステップ=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機のドア=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機のウィスキーハッチから手を差し出すHACの社員=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の貨物室=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の左主脚=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機を清掃するHACの社員=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の左翼端=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の右翼端=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
最後の定期便運航を終えたHACのサーブ340Bの2号機の右主脚=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機を清掃するHACの整備士=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機の清掃を終えたHACの武村社長と社員=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
新千歳空港を離陸しアンカレッジへ向かう元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
北海道エアシステム
北海道エアシステム(HAC) SAAB340B ついに退役(YouTube、5分2秒)
新千歳から離日
・元HACのサーブ2号機、白塗りで新千歳から離日 国内航空会社最後の機体(22年3月7日)
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・HACのサーブ340B退役 降雪で1往復繰り上げ、函館発が最終便(21年12月26日)
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3号機と初号機
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