3月16日夜遅くに起きた福島県沖を震源とする地震の影響で、仙台空港では旅客ターミナルの大きな窓ガラスが割れるなどの被害が出た。震度5強を観測したものの滑走路などは無事で、一夜明けた17日は通常通り午前6時10分に開館し、始発から運航できた。定期便が就航していない羽田空港からの臨時便は、1便目の全日本空輸(ANA/NH)のNH1501便が午後0時8分に、2便目の日本航空(JAL/JL、9201)のJL4951便が午後3時33分に到着し、その後も運航が続いている。
ターミナル内の飲食店では食器が割れるなどの被害が出て、17日は従業員たちが営業再開に向けた後片付けに追われていた。18日からは臨時休業していた3階の飲食店やラウンジなどが営業を順次再開し、19日には3階のレストラン1店舗と屋上の展望デッキを除いて営業再開している。
空港を運営する仙台国際空港会社の広報担当者によると、今回の地震の揺れは「かき混ぜられるような非常に強い揺れ」だったという。縦揺れから横揺れに変化するような揺れではなく、「シェイクされるような揺れ方」に感じたそうだ。
11年前の2011年3月11日に起きた東日本大震災でも無事だったターミナルの大きな窓ガラスも1カ所割れた。保安検査場を通過後の制限区域にある国内線搭乗待合室の窓ガラスで、4番搭乗口近くのイスやマッサージチェアが置かれているエリアの1枚が割れたが、曲面ガラスの特注品のため、すぐには新しいガラスに交換できないという。
16日の地震は午後11時36分ごろ発生し、最大震度6強を観測。仙台空港は近隣住民の避難場所に指定されているため、深夜に避難してきた15人がターミナルで17日朝まで過ごした。
発災から30分も経たずに迎えた17日は、空港会社の社員が深夜から出勤。朝5時前には多くの人が出社し、散乱した書類を片付けたり、飲食店では割れた食器類の片付けなどが進められた。東北新幹線が脱線したという一報が入っていたこともあり、空港会社でも始発から通常通り運航できるよう準備し、到着ロビーのある1階、航空会社のチェックインカウンターや保安検査場がある2階はいつも通りオープンし、被害がみられた3階は安全確認もあり、17日は終日閉鎖が決まった。
ターミナルでもっとも被害が目立った3階は、2基あるエスカレーターの間にある床材が隆起してヒビが入ったり、壁の一部も被害が出た。自動販売機の一部は地震で設置場所からずれてしまったものもあり、空港会社の社員が天井から落下しそうなものがないかなども点検していた。
また、18日始発から運転を再開した仙台空港アクセス線も、17日は始発から運転を見合わせたため、空港と仙台駅を結ぶ臨時バスが運行された。
JR東日本の18日の発表によると、地震の影響で脱線した東北新幹線の那須塩原-盛岡間の運転見合わせは21日まで決定しており、22日以降の運転計画は21日に発表する。東京-那須塩原間と盛岡-新青森間は臨時ダイヤで運転している。
*写真は17枚(提供写真除く)。
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