ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、航空各社はロシア領空を迂回(うかい)するルートで日欧間を結ぶ路線の運航を続けている。日本の大手2社の場合、全日本空輸(ANA/NH)はロシア南側を飛ぶ「南回り」、日本航空(JAL/JL、9201)はアラスカやグリーンランドなどを通る「北回り」を選択した。JALの羽田-ロンドン線の場合、飛行時間が従来と比べて最大4時間半長い約16時間となり、日本へ向かう復路では飛行時間を短くできる南回りも検討している。

欧州路線のロシア迂回ルートはANAが南回り、JALが北回り=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
アラスカ経由というと、1980年代から始まったソ連(当時)の空域開放前に主流だったアンカレッジ空港を経由するルートを思い浮かべる人も多いようだ。しかし、北回りの「ポーラールート」を選択したJALも、アンカレッジ空港に立ち寄ることはない。
また、ANAは比較的早い段階で南回りを選択する意向を表明した。航空会社がルートを設定する場合、各国の領空を通過する許可を得る必要があるが、ANAの場合はある路線の開設を目指していたことなどが奏功したようだ。
両社のルート選択の狙いを見てみよう。
—記事の概要—
・ロンドン最短距離のJAL北回り
・イスタンブール通過するANA南回り
・貨物搭載量どう確保?
ロンドン最短距離のJAL北回り
まずは以前アンカレッジ経由便を運航していたJALから。欧州路線は3月4日から当面、羽田-ロンドン線のみ運航を続ける。欠航となるパリ、フランクフルト、モスクワ、ヘルシンキ線の利用者は、ロンドンからブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)などの便に乗り継いでもらう。

通常時と北回り、南回りの比較(JAL提供)
JALが主に利用するルートは、羽田を出てアラスカ西側のベーリング海に面する辺りから北米大陸、グリーンランドなどを経てロンドンへ向かう。毎日運航する羽田-ロンドン線のJL43/44便の場合、飛行時間は通常ロンドン行きJL43便が12時間40分、羽田行きJL44便が11時間55分だが、4日は北回りになることで往路のJL43便が2時間55分、復路のJL44便が4時間30分多くかかり、JL43便の飛行時間は約15時間40分、JL44便は16時間25分になる見込み。
北回り往路初日のJL43便(777-300ER、JA735J)は、羽田を4日午後0時3分に出発。ロンドン着は現地時間同日午後6時15分で、飛行時間は15時間12分だった。復路のJL44便(777-300ER、JA735J)はロンドンを4日午後9時12分に出発し、羽田には5日午後10時7分に着陸し、15時間55分のフライトとなった。
機材は従来と同じボーイング777-300ER型機を使用。パイロットは疲労を考慮し、普段の3人で組む「マルチクルー」編成より
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