エールフランス-KLMグループのエールフランス航空(AFR/AF)は運航中の日本路線について、ロシア上空を迂回(うかい)する航路へ変更している。ロシアがEU(欧州連合)に対し、EU籍の航空機のロシア領空飛行を禁止したことによるもので、飛行時間は従来よりも2時間程度長くなる。
—記事の概要—
・エールフランスは迂回し日本へ
・KLMは一時運休
エールフランスは迂回し日本へ
同社の現在の日本路線はパリ-成田線とパリ-関西線の2路線で、航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、成田行きAF276便は現地時間2月28日から、関西行きAF292便は3月1日から迂回ルートを飛行している。エールフランスは迂回ルートへの切り替え時期を公表していない。
従来はパリ離陸後に北東へ進み、バルト海からエストニア上空を通過してロシア領空を飛行していたが、迂回ルートではパリ離陸後に東へ進み、セルビアやブルガリア、黒海上空を通過し、カザフスタンや中国の領空を飛行。パリ発成田行きAF276便の飛行時間は、従来ルートで最後に運航した2月26日が11時間7分に対し、迂回ルート初日の28日は13時間11分で、2時間程度長くかかった。
関西行きAF292便の飛行時間は、従来ルートで最後に運航した2月26日が10時間53分に対し、迂回ルート初日の3月1日は12時間10分で、所要時間は1時間20分程度長くなった。
3月1日の成田発パリ行きAF275便は当初、ブダペスト(ハンガリー)経由での運航を予定していた。迂回ルートを飛行したことで規定よりも長時間勤務となったことにより、ブダペストでの乗務員入れ替えを計画していたが、飛行途中で直行便に切り替えた。エールフランスによると次の運航となる4日以降も直行便での運航が決まり、第3地点での乗員入れ替えは予定していないという。
エールフランスは成田と関空のほか、羽田へも乗り入れているが、パリ-羽田線は2月1日から3月26日まで運休している。
KLMは一時運休
KLMオランダ航空(KLM/KL)の日本路線は、アムステルダム-成田線とアムステルダム-関西線の2路線で、2月28日から3月4日まで運休。5日以降は迂回ルートでの飛行可否により、再開を検討する。
日本路線以外では、中国と韓国路線も一時運休している。
◆ ◆ ◆
EUは2月27日に、ウクライナに侵攻しているロシアに対しての追加制裁を発表。ロシア国籍機のEU領空の飛行を禁止している。ロシアの航空当局は対抗措置として、EU籍機のロシア領空飛行を禁じている。
ウクライナ侵攻での影響
・JALとANA、欧州便は通常運航 ロシア情勢注視し判断(22年2月28日)
・EU、ロシア機の乗り入れ禁止 日欧各社も影響(22年2月28日)
・世界最大の飛行機An-225破壊 ウクライナ政府「ムリーヤは決して滅びない」(22年2月28日)
エールフランス
・エールフランス、日本3路線週11往復 KLMは2路線週7往復、5月末まで(22年1月26日)
・エールフランス、A350が羽田就航(21年8月12日)
・エールフランス、羽田-パリ再開 787で週3往復、7月増便も(21年6月21日)
・エールフランス、夏の座席供給量19年比65%まで回復 羽田も再開(21年6月21日)
KLMオランダ航空
・KLM、日本就航70周年 ビジネスクラス機内食試食会当たるキャンペーンも(21年12月7日)
・KLMオランダ航空、成田1日1往復 関空は週5往復、夏ダイヤ(21年3月5日)
・KLM創立100周年、500キロ以下は高速鉄道と連携 エルバース社長「前に進まないと消える」(19年10月12日)
・KLM社長、羽田発着枠「あきらめたくない」(19年10月10日)
・KLMオランダ航空、創立100周年 成田には特別デザイン777(19年10月7日)
【お知らせ】
5段落目の乗員入れ替えについて、成田発パリ行きAF275便は当初、ブダペスト経由での運航を計画していましたが、飛行途中に直行便に切り替わりました。当該部をアップデートしました。(22年3月2日 18:44JST)