エアライン, 解説・コラム — 2022年2月14日 21:42 JST

ANA平子社長「PDCAのプラン長い」アジャイルで構造改革加速

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 全日本空輸(ANA/NH)の新社長に就任する井上慎一専務は2月14日、ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長が4月からの新経営体制に事業構造改革のスピードアップを求めたことについて、意思決定プロセスなどに見直しの余地があるとの見方を示した。新体制でANAHDの副会長に就任するANAの平子裕志社長も「PDCAサイクルを社内でよく使っているが、プランが長いことがある」と指摘し、意思決定の流れや計画の進め方を見直すことが改革の加速につながるとした。

ANAの平子社長(右)と新社長に就任する井上専務=22年2月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 井上氏はコロナ後の構造改革の進捗について「そこまでスピードが劣っていたとは思わない。構造改革はいの一番に取り組み、プラットフォーム事業が進んでいる。遅れてはいないが、もっと速くという指示だと思う」と述べた。

 一般論と断った上で「具体的に何に時間がかかるかと言うと、意思決定のプロセスが長すぎるといった点を直していけば、おのずと速くなると思う」と語った。

新体制に構造改革の加速を求めるANAホールディングスの片野坂社長=22年2月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、平子氏はPDCAの課題について「どうしても念入りにプラン(計画)を作って、ドゥ(実行)とチェック(評価)まで持っていくのに時間がかかるというのが結構ある」と指摘。「昨年、一昨年くらいからは、アジャイルの考え方をもうちょっと打ち出していこうとなり、とりあえずアイデアを形にしてやってみようじゃないか、という動きが出始めている」(平子氏)と、大枠を決めたら詳細はプロジェクトを走らせながら詰めていく「アジャイル開発」の手法を取り入れているという。

 「なかなか目に見える形でできているとは思っていないので、しっかり意識してやっていきたい」(平子氏)として、意思決定や計画の進め方を見直すことで、片野坂氏が危機感を抱くスピードアップにつなげてコロナ後の需要回復期に備える。

 片野坂氏は10日に開いたANAHDの新社長に昇格する芝田浩二専務の就任会見で、「私なりに小さな火を付け、炎を点火したような感じ。これらをスピードを上げて実現して欲しい。競争するテーマが決まっているので、スピードを上げないと世界に負けてしまう」と、さらなる改革の加速を新体制に求めた。

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